関節液中に多量のハイドロキシアパタイト結晶を認めた1症例
関節液中にみられる結晶は尿酸ナトリウム結晶とピロリン酸カルシウム結晶が広く知られているが,まれにハイドロキシアパタイト結晶(以下,HA結晶)などの塩基性リン酸カルシウム結晶により関節炎を引き起こすことがある。今回巨大異所性石灰化を膝関節に認め,関節液検査にて多量のHA結晶を検出した症例を報告する。維持血液透析中の30歳代男性で,1ヶ月前より左膝に認めていた腫瘤が徐々に増大,自壊し白色の膿性の排液を認めたため当院整形外科に紹介となった。当初化膿性関節炎が疑われたため,同日緊急に病巣掻把術と洗浄を行った。術後40日目の整形外科受診時,左膝関節の貯留液の細胞数検査と結晶検査が提出された。細胞数は1,...
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Published in | 医学検査 Vol. 72; no. 3; pp. 440 - 445 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.07.2023
日本臨床衛生検査技師会 |
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Summary: | 関節液中にみられる結晶は尿酸ナトリウム結晶とピロリン酸カルシウム結晶が広く知られているが,まれにハイドロキシアパタイト結晶(以下,HA結晶)などの塩基性リン酸カルシウム結晶により関節炎を引き起こすことがある。今回巨大異所性石灰化を膝関節に認め,関節液検査にて多量のHA結晶を検出した症例を報告する。維持血液透析中の30歳代男性で,1ヶ月前より左膝に認めていた腫瘤が徐々に増大,自壊し白色の膿性の排液を認めたため当院整形外科に紹介となった。当初化膿性関節炎が疑われたため,同日緊急に病巣掻把術と洗浄を行った。術後40日目の整形外科受診時,左膝関節の貯留液の細胞数検査と結晶検査が提出された。細胞数は1,850個/μL,外観は白色の練り歯磨き状であった。簡易偏光装置を用いた鏡検では,ごつごつした小塊状の偏光を示さない不明結晶を多数認め,形状からHA結晶を疑い臨床に報告した。後日コッサ染色陽性も確認され本結晶の特徴と一致した。本症例では,ビタミンD製剤とCa含有P吸着剤が使用されていたことによりCaが高値であったこと,食事制限が困難で高リン血症を呈しており,長期間Ca・P積が80~100程度を持続していたことが異所性石灰化による腫瘤形成の原因として挙げられる。検査担当者は患者背景や本結晶の形態的特徴および性状を理解した上で関節液結晶検査を実施することが重要である。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.22-89 |