当科における小児膵solid-pseudopapillary neoplasmの検討

「要旨」【目的】膵solid-pseudopapillary neoplasm (以下SPN) は若年女性に多い比較的稀な膵腫瘍である. 今回, 当科で経験した膵SPN小児例をもとに, 膵SPNの臨床像について検討した. 【対象と方法】2015年から2021年までに当科で経験した膵SPNの小児例を対象とし, 診療録をもとに後方視的に検討した. 【結果】症例は3例で全例女児, 年齢は10~12歳, 症状は腹痛, 嘔吐, 発熱, 下痢などであった. 発生部位は膵尾部2例, 膵体部1例だった. 手術術式は脾温存膵体尾部切除術2例, 脾合併膵体尾部切除術1例が施行された. 術後合併症は全例で認めず,...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1105 - 1109
Main Authors 中山智理, 渡井有, 佐藤英章, 田山愛, 大澤俊亮, 福永奈津, 木村翔大, 安達聖, 富永美璃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.12.2023
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Summary:「要旨」【目的】膵solid-pseudopapillary neoplasm (以下SPN) は若年女性に多い比較的稀な膵腫瘍である. 今回, 当科で経験した膵SPN小児例をもとに, 膵SPNの臨床像について検討した. 【対象と方法】2015年から2021年までに当科で経験した膵SPNの小児例を対象とし, 診療録をもとに後方視的に検討した. 【結果】症例は3例で全例女児, 年齢は10~12歳, 症状は腹痛, 嘔吐, 発熱, 下痢などであった. 発生部位は膵尾部2例, 膵体部1例だった. 手術術式は脾温存膵体尾部切除術2例, 脾合併膵体尾部切除術1例が施行された. 術後合併症は全例で認めず, 術後在院日数は9~12日であった. 術後観察期間は18~78か月で全例無再発生存中である. 【結語】当科で経験した膵SPN小児例の術後経過は良好であった. 膵SPNは完全切除により良好な予後が得られるが, 術式には脾臓温存に努めるべきである.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.59.7_1105