分子可視化で捉えた動く構造間をバネ分子が行き来しながら繋ぐ新しい力伝達機構

「1. 動き続ける構造の動力をどのように伝達するか?」細胞は, 接着斑と呼ばれる接着装置を介して細胞外の足場(基質)とアクチン細胞骨格を連結する. 接着斑では, 接着分子インテグリンが細胞外で足場と結合し, その細胞質側では多様な接着斑タンパク質を介してアクチン線維と連結する. アクチン細胞骨格は, 重合またはミオシンとの相互作用により細胞内で力を発生するダイナミックな構造体である. 接着斑では, アクチン線維の牽引力が, 接着斑タンパク質とインテグリンを介して細胞足場に伝達される. 一般的に, アクチン線維は静的な結合により接着斑に繋ぎとめられていると考えられている. 一方, われわれは細胞...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生物物理 Vol. 65; no. 2; pp. 70 - 73
Main Authors 山城, 佐和子, 渡邊, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2025
日本生物物理学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「1. 動き続ける構造の動力をどのように伝達するか?」細胞は, 接着斑と呼ばれる接着装置を介して細胞外の足場(基質)とアクチン細胞骨格を連結する. 接着斑では, 接着分子インテグリンが細胞外で足場と結合し, その細胞質側では多様な接着斑タンパク質を介してアクチン線維と連結する. アクチン細胞骨格は, 重合またはミオシンとの相互作用により細胞内で力を発生するダイナミックな構造体である. 接着斑では, アクチン線維の牽引力が, 接着斑タンパク質とインテグリンを介して細胞足場に伝達される. 一般的に, アクチン線維は静的な結合により接着斑に繋ぎとめられていると考えられている. 一方, われわれは細胞内蛍光アクチン1分子イメージングにより, 接着斑に連結されているはずのアクチン線維が, 求心性アクチン流動により絶え間なく細胞中心に向かって流動していることを, 先行研究で明らかにした.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.65.70