ASSQ短縮版の5歳児適用における妥当性

5歳児に対するASSQ短縮版の妥当性について検証することを目的とし,5歳児群1919名(男児1002名,うちASDの診断のあるもの59名(男児37名)と小学校2年生から中学校2年生4374名(男児2221名)を対象にASSQ短縮版を施行し,分析を行った。確認的因子分析の結果から,5歳児での因子構造は,学齢期と同様であることが確認されたが,多母集団同時分析から,群間で因子負荷量が異なることが示された。また,年齢群(5歳児:学齢期)×性別(男:女)の2要因分散分析では,年齢,性別に主効果が見られ,交互作用は有意ではなかった。一方,ASDの有無を従属変数,ASSQ短縮版の3因子を独立変数とする重回帰...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 57; no. 4; pp. 603 - 617
Main Authors 足立, 匡基, 高柳, 伸哉, 吉田, 恵心, 安田, 小響, 大里, 絢子, 田中, 勝則, 増田, 貴人, 栗林, 理人, 斉藤, まなぶ, 中村, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本児童青年精神医学会 01.08.2016
日本児童青年精神医学会
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Summary:5歳児に対するASSQ短縮版の妥当性について検証することを目的とし,5歳児群1919名(男児1002名,うちASDの診断のあるもの59名(男児37名)と小学校2年生から中学校2年生4374名(男児2221名)を対象にASSQ短縮版を施行し,分析を行った。確認的因子分析の結果から,5歳児での因子構造は,学齢期と同様であることが確認されたが,多母集団同時分析から,群間で因子負荷量が異なることが示された。また,年齢群(5歳児:学齢期)×性別(男:女)の2要因分散分析では,年齢,性別に主効果が見られ,交互作用は有意ではなかった。一方,ASDの有無を従属変数,ASSQ短縮版の3因子を独立変数とする重回帰分析からは,それぞれの因子が診断を有意に予測することが示された。さらに男女別のROC分析からは,良好な識別精度が示され(AUC=男児.92,女児.91),学齢期での得点と様相が異なるものの,ASSQ短縮版は5歳児のASDを一定の精度で識別できる可能性が示された。5歳児におけるスクリーニングを目的としたカットオフ値は,男児で3点(感度.94,特異度.81),女児で4点(感度.73,特異度.94),ASDが強く疑われるカットオフ値は,男女ともに8点(男児=感度.49,特異度.99;女児=感度.54,特異度.98)という設定が妥当であると考えられた。後者のカットオフ値での陽性的中率は,男児で61%,女児で53%であり,ASDの比較的強い疑いを示すカットオフ値として機能すると考えられる。
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.57.4_603