動画を用いた視覚刺激による自己運動錯覚が随意運動の発現に及ぼす影響

「諸言」自己運動錯覚とは, 現実の運動を生じさせる筋収縮を伴わないにも関わらず, あたかも自身の四肢が動いているかのような感覚が引き起こされるものである. 自己運動錯覚の誘起方法としては, これまで筋腱の振動刺激や皮膚の伸張, 鏡像による視覚刺激を用いたものなどが報告されている. 鏡像を用いて錯覚を誘起する方法はミラーセラピーとよばれ, 臨床的にも応用されている. ミラーセラピーでは, まず対象者の正面に鏡を置き, 一方の手や足部を動かしている光景を鏡に映す. そして, 鏡に映した側とは反対側の四肢があたかも動いているかのように, 鏡像をうまく見せることで錯覚が誘起できる. ミラーセラピーは上...

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Published in日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 18; no. 2; pp. 27 - 34
Main Authors 阿部, 大豊, 柴田, 恵理子, 木村, 剛英, 金子, 文成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本基礎理学療法学会 24.08.2015
Japanese Association of Physical Therapy Fundamentals
Subjects
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ISSN2186-0742
2434-0731
DOI10.24780/jptf.18.2_27

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Summary:「諸言」自己運動錯覚とは, 現実の運動を生じさせる筋収縮を伴わないにも関わらず, あたかも自身の四肢が動いているかのような感覚が引き起こされるものである. 自己運動錯覚の誘起方法としては, これまで筋腱の振動刺激や皮膚の伸張, 鏡像による視覚刺激を用いたものなどが報告されている. 鏡像を用いて錯覚を誘起する方法はミラーセラピーとよばれ, 臨床的にも応用されている. ミラーセラピーでは, まず対象者の正面に鏡を置き, 一方の手や足部を動かしている光景を鏡に映す. そして, 鏡に映した側とは反対側の四肢があたかも動いているかのように, 鏡像をうまく見せることで錯覚が誘起できる. ミラーセラピーは上下肢の切断症例における幻肢痛の抑制や, 脳卒中片麻痺症例の感覚運動機能を向上させる治療方法として適用されている. しかし, ミラーセラピーは非麻痺側の運動を行わせるため, 異常半球間抑制仮説に基づく治療的アプローチとは矛盾したアプローチとなっている.
ISSN:2186-0742
2434-0731
DOI:10.24780/jptf.18.2_27