部分弓部大動脈人工血管置換術後に合併した乳糜心囊液に対してソマトスタチンアナログ製剤投与とリンパ管造影検査が有効であった1例

• Published in: 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 18; no. 3; pp. 294 - 298
• Main Authors: 山下, 裕正, 藤井, 正大, 井塚, 正一郎, 網谷, 亮輔, 川瀬, 康裕, 嶺, 貴彦, 別所, 竜蔵, 石井, 庸介
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本医科大学医学会 25.08.2022
• ISSN: 1349-8975; 1880-2877
• DOI: 10.1272/manms.18.294

「緒言」成人心臓血管外科手術後の乳糜胸は比較的稀な合併症である. しかしリンパ液流出の遷延は, 時に重篤な病態を伴う可能性がある. 今回急性大動脈解離術後に経験した乳糜心嚢液に対してリンパ管造影検査が奏功した症例を経験したので報告する. 「症例」患者 : 72歳 女性 主訴 : 胸背部痛 既往歴 : なし 現病歴 : 2021年1月, 突然の胸背部痛を認め, 症状の改善認められないために, 救急要請. 救急隊到着時も胸痛が持続しており, 血圧の左右差を認めており, 当院にドクターヘリにて救急搬送となった. 入院時現症 : 身長161cm, 体重57.2kg, BMI 22.0, 血圧左160/87, 右104/55, 脈拍71回/分, 整, 拡張期雑音聴取. 呼吸音清, 四肢麻痺, 感覚障害なし. 心臓超音波検査にて心嚢液軽度貯留, 中等度大動脈弁逆流を認める.