Heart appearance signを呈した両側延髄内側梗塞の1例

両側延髄内側梗塞は,特異的な画像所見としてheart appearance signを呈し,早期診断早期治療が可能となった現在でさえ,重度の後遺症を残すため予後が改善したとは言い難い疾患である.症例は,高血圧症および糖尿病を既往にもつ85歳男性.構音障害と四肢のしびれにより搬入.心電図で不整脈はなく,MRI上heart appearance signを認めたが,椎骨脳底動脈には狭窄や解離所見はなかった.小血管障害による両側延髄内側梗塞と診断し入院.症状は階段的に増悪し,意識障害に加え両側顔面を含む四肢麻痺まできたしたが,最終的には,集約的治療により症状は軽減した.延髄内側梗塞の原因としては大血...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 44; no. 4; pp. 373 - 377
Main Authors 太田, 浩嗣, 梅村, 武部, 近藤, 弘久, 山本, 淳考
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.12.2022
産業医科大学
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Summary:両側延髄内側梗塞は,特異的な画像所見としてheart appearance signを呈し,早期診断早期治療が可能となった現在でさえ,重度の後遺症を残すため予後が改善したとは言い難い疾患である.症例は,高血圧症および糖尿病を既往にもつ85歳男性.構音障害と四肢のしびれにより搬入.心電図で不整脈はなく,MRI上heart appearance signを認めたが,椎骨脳底動脈には狭窄や解離所見はなかった.小血管障害による両側延髄内側梗塞と診断し入院.症状は階段的に増悪し,意識障害に加え両側顔面を含む四肢麻痺まできたしたが,最終的には,集約的治療により症状は軽減した.延髄内側梗塞の原因としては大血管アテローム性変化や小血管病変が多い.また,狭窄や解離所見がなくても,延髄内側の血流が片側支配を受ければ,両側性病変になる可能性が高いとされている.今回,heart appearance signを呈した両側延髄内側梗塞を経験したので,その血行動態を含め文献的考察を加え報告する.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.44.373