掌側ロッキングプレート固定で治療した橈骨遠位端骨折に合併した腱損傷の検討

2006年4月~2012年3月までの6年間で,掌側ロッキングプレート(VLP)を用いて手術を行った橈骨遠位端骨折のうち,術後に腱断裂と診断した6症例(男性1例,女性5例,平均年齢57.0歳(33~70歳))を対象とした.骨折型はAO( Arbeitsgemeinschaft fur Osteosynthes)分類で,A2-1例,A3-4例,C2-1例(*A:関節外骨折,C:関節内骨折),平均手術待機期間は2.7日であった.腱断裂(長母指伸筋腱(EPL)・長母指屈筋腱(FPL))発生時期,スクリュー突出の有無,背側天蓋骨片の有無,設置位置などについて検討した結果,EPL断裂4例,FPL断裂2例で...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 36; no. 4; pp. 257 - 264
Main Authors 古川, 佳世子, 山中, 芳亮, 大茂, 壽久, 目貫, 邦隆, 村井, 哲平, 酒井, 昭典, 善家, 雄吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.12.2014
産業医科大学
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.36.257

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Summary:2006年4月~2012年3月までの6年間で,掌側ロッキングプレート(VLP)を用いて手術を行った橈骨遠位端骨折のうち,術後に腱断裂と診断した6症例(男性1例,女性5例,平均年齢57.0歳(33~70歳))を対象とした.骨折型はAO( Arbeitsgemeinschaft fur Osteosynthes)分類で,A2-1例,A3-4例,C2-1例(*A:関節外骨折,C:関節内骨折),平均手術待機期間は2.7日であった.腱断裂(長母指伸筋腱(EPL)・長母指屈筋腱(FPL))発生時期,スクリュー突出の有無,背側天蓋骨片の有無,設置位置などについて検討した結果,EPL断裂4例,FPL断裂2例であった.発生時期は,平均86.8日(1~182日)であった.明らかなスクリュー突出は,EPL断裂4例中1例(16.7%)に認められた.また,背側天蓋骨片が2例(50%)に存在し,いずれも転位の大きい症例であった.プレート設置位置不良がFPL断裂2例中2例 (100%)に認められた.以上より,VLP固定で治療した橈骨遠位端骨折に合併した腱損傷の頻度は決して少なくはなく,その予防については,発症原因を十分に理解したうえで,技術的に防げる点について注意を払う必要がある.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.36.257