群馬県内で統一した脳卒中地域連携パス

群馬県では、2010年から県内で統一した脳卒中地域連携パスの使用を開始した。参加している計画管理病院は11、連携先病院は33、かかりつけ医が221である。2010年度のパス適応患者のデータから、群馬県の脳卒中患者の動向および特性について分析した。連携パスを使用し、転院する候補となったパス適応者の総数は、1,059名であった。うちパスを使用して転院となった患者は750名であった。適応疾患別では、脳梗塞55%、脳出血39%、くも膜下出血6%であった。在宅復帰率は64.7%であった。各計画管理病院別に保健医療圏ごとの転帰先をみてみると、自施設がある医療圏内だけで連携している施設はなく、すべての計画管...

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Published in日本クリニカルパス学会誌 Vol. 15; no. 3; pp. 177 - 181
Main Authors 笹原, 啓子, 朝倉, 健, 大竹, 弘哲, 田中, 真理子, 中井, 正江, 須賀, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本クリニカルパス学会 30.09.2013
日本クリニカルパス学会
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Summary:群馬県では、2010年から県内で統一した脳卒中地域連携パスの使用を開始した。参加している計画管理病院は11、連携先病院は33、かかりつけ医が221である。2010年度のパス適応患者のデータから、群馬県の脳卒中患者の動向および特性について分析した。連携パスを使用し、転院する候補となったパス適応者の総数は、1,059名であった。うちパスを使用して転院となった患者は750名であった。適応疾患別では、脳梗塞55%、脳出血39%、くも膜下出血6%であった。在宅復帰率は64.7%であった。各計画管理病院別に保健医療圏ごとの転帰先をみてみると、自施設がある医療圏内だけで連携している施設はなく、すべての計画管理病院が複数の医療圏にまたがり連携していた。このような状況の中で、群馬県内で統一したパスを運用することは、患者・家族だけでなく医療者の混乱も防ぎ、さらに同じ基準でデータを収集し、分析することで群馬県の動向をより詳細に把握することができ、群馬県全体で脳卒中患者のケアの質向上を考えるチャンスにもつながっている。しかし共通化されて初めてデータ分析を行ったが、パス適応基準が微妙にぶれていたことが判明した。統一の際、かなり詳細に話し合ったつもりであったが、もともと地域で考えられていた適応基準をそのまま使用しているケースがあった。より詳細なデータを収集し、分析するためには、適応基準の統一に加え、他地域とのベンチマーキングにも使用できるよう収集するデータ項目の見直しが必要である。
ISSN:2187-6592
2436-1046
DOI:10.50842/jjscp.15.3_177