小児生体肝移植後の門脈血栓に対する溶解療法中に可溶性フィブリンをモニターした1例

「I. はじめに」血栓症発症診断時の血液学的指標としては, 血栓形成後の線溶反応により上昇するfibrin degradation products, D-dimer (FDP-DD) 値が用いられている. 一方でsoluble fibrin (SF) 値は凝固亢進のマーカーとして知られており, 血栓症に対する治療の際の効果の判定に有用と考えられる. しかし, 検索しうる限り, 肝移植後門脈血栓症 (portal vein thrombosis : PVT) の治療経過におけるSF値の変動を観察した報告はない. 今回われわれは, 小児生体肝移植後のPVTに対する血栓溶解療法時にSF値をモニター...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 50; no. 6; pp. 645 - 650
Main Authors 大野, 康成, 中澤, 勇一, 寺田, 志洋, 三田, 篤義, 浦田, 浩一, 吉澤, 一貴, 池上, 俊彦, 宮川, 眞一, 増田, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2015
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.50.6_645

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Summary:「I. はじめに」血栓症発症診断時の血液学的指標としては, 血栓形成後の線溶反応により上昇するfibrin degradation products, D-dimer (FDP-DD) 値が用いられている. 一方でsoluble fibrin (SF) 値は凝固亢進のマーカーとして知られており, 血栓症に対する治療の際の効果の判定に有用と考えられる. しかし, 検索しうる限り, 肝移植後門脈血栓症 (portal vein thrombosis : PVT) の治療経過におけるSF値の変動を観察した報告はない. 今回われわれは, 小児生体肝移植後のPVTに対する血栓溶解療法時にSF値をモニターした症例を経験したので報告する. 「II. 症例」症例 : 9カ月, 女児, O型 (+). 主訴 : 発熱 既往歴 : 在胎39週, 2,986gで出生した. 他院にて生後40日目に胆道閉鎖症に対し葛西手術が施行されたが, 術後胆汁うっ滞性肝硬変となった.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.50.6_645