遺伝に関する問診票を用いた遺伝性腫瘍リスクの評価 −消化器外科病棟を対象とした取り組み

当院では2013 年に遺伝外来を開設した.2014 年からは遺伝性腫瘍委員会を立ち上げ,問診票を用いた遺伝外来への紹介システムの運用を全病棟で行ってきた.しかしリンチ症候群疑い患者の一次拾い上げは十分ではないと考えられた.そこで,遺伝外来スタッフによる消化器外科病棟の問診票の調査とリスク評価に取り組んだ.2016 年8 月1 日から2017 年6 月30 日の期間に215 件の問診票を回収した.うち大腸がん患者82 人について,改訂ベセスダガイドラインの基準を用いて評価を行った.18 人が基準に合致し,13 人に対して認定遺伝カウンセラーが面談を行い,うち2 人は遺伝外来受診につながった.潜在...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 18; no. 2; pp. 31 - 36
Main Authors 日下, 咲, 松本, 光史, 秋丸, 憲子, 菅原, 宏美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2018
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.18.2_31

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Summary:当院では2013 年に遺伝外来を開設した.2014 年からは遺伝性腫瘍委員会を立ち上げ,問診票を用いた遺伝外来への紹介システムの運用を全病棟で行ってきた.しかしリンチ症候群疑い患者の一次拾い上げは十分ではないと考えられた.そこで,遺伝外来スタッフによる消化器外科病棟の問診票の調査とリスク評価に取り組んだ.2016 年8 月1 日から2017 年6 月30 日の期間に215 件の問診票を回収した.うち大腸がん患者82 人について,改訂ベセスダガイドラインの基準を用いて評価を行った.18 人が基準に合致し,13 人に対して認定遺伝カウンセラーが面談を行い,うち2 人は遺伝外来受診につながった.潜在的なニーズを拾い上げ,応えることができたと考える.認定遺伝カウンセラーとの面談後に遺伝外来受診を希望しなかった理由には,現在の治療が優先であり遺伝について考えられないという患者の意向などが挙げられた.今後,介入のタイミングや継続フォローについても検討が必要である.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.18.2_31