ポリメラーゼ校正関連ポリポーシス
「I. はじめに」 家族性大腸腺腫症(FAP)は, APC遺伝子を原因遺伝子とする常染色体優性遺伝の形式の遺伝性疾患で, 若年期より大腸に多くの腺腫が発生する1). 腺腫の少ない(数十個程度)場合には, MUTYH遺伝子が原因となることがあり, 常染色体劣性遺伝の形式をとることが知られている1). しかしながら, 大腸に多数の腺腫を認めるにもかかわらず, 既知の遺伝子の生殖細胞系列に病的変異が検出されない場合があったが, 最近, 新たな原因遺伝子が多発大腸腺腫の家系が報告された2). 今回, 多発大腸腺腫の家系で原因遺伝子として同定されたのはPOLE遺伝子とPOLD1遺伝子である. POLE遺...
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Published in | 家族性腫瘍 Vol. 14; no. 1; pp. 21 - 23 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家族性腫瘍学会
2014
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会 The Japanese Society for Hereditary Tumors |
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ISSN | 1346-1052 2189-6674 |
DOI | 10.18976/jsft.14.1_21 |
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Summary: | 「I. はじめに」 家族性大腸腺腫症(FAP)は, APC遺伝子を原因遺伝子とする常染色体優性遺伝の形式の遺伝性疾患で, 若年期より大腸に多くの腺腫が発生する1). 腺腫の少ない(数十個程度)場合には, MUTYH遺伝子が原因となることがあり, 常染色体劣性遺伝の形式をとることが知られている1). しかしながら, 大腸に多数の腺腫を認めるにもかかわらず, 既知の遺伝子の生殖細胞系列に病的変異が検出されない場合があったが, 最近, 新たな原因遺伝子が多発大腸腺腫の家系が報告された2). 今回, 多発大腸腺腫の家系で原因遺伝子として同定されたのはPOLE遺伝子とPOLD1遺伝子である. POLE遺伝子はポリメラーゼεをコードする遺伝子で, POLD1遺伝子はポリメラーゼδをコードする遺伝子である. DNAポリメラーゼは, 1本鎖DNAを鋳型として, それと相補的な配列をもつDNA鎖を合成する役割をもつ3). その中でも, ポリメラーゼεとポリメラーゼδは, DNA複製の際のエラーを修復する機能, すなわち「校正」する機能をもっている. |
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ISSN: | 1346-1052 2189-6674 |
DOI: | 10.18976/jsft.14.1_21 |