MLH1 epimutationの現状

MLH1 epimutation は,生殖細胞系列にMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化を認め,若年のうちに大腸癌をはじめとするリンチ症候群関連腫瘍を多発する非常に稀な症候群である.世代を越えての継承を認めるgermlineepimutation と認めないconstitutional epimutation に分類され,多くは後者に属する.MLH1 epimutation の大腸癌の多くは右側大腸に発生し,片側アレルのMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化と正常アレルの欠失によりMLH1 の発現が消失しMSI-H を示す.スクリーニングでは,改訂ベテスダガイドラインとMSI 検...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 14; no. 2; pp. 29 - 34
Main Authors 宮倉, 安幸, 安田, 是和, 菅野, 康吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2014
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
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Summary:MLH1 epimutation は,生殖細胞系列にMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化を認め,若年のうちに大腸癌をはじめとするリンチ症候群関連腫瘍を多発する非常に稀な症候群である.世代を越えての継承を認めるgermlineepimutation と認めないconstitutional epimutation に分類され,多くは後者に属する.MLH1 epimutation の大腸癌の多くは右側大腸に発生し,片側アレルのMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化と正常アレルの欠失によりMLH1 の発現が消失しMSI-H を示す.スクリーニングでは,改訂ベテスダガイドラインとMSI 検査が重要であり,MSI-H の患者に対してはMMR 遺伝子の胚細胞変異を検索し,変異が認めない症例には,血液,癌組織のMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化の検索を行う必要がある.サーベイランスでは,リンチ症候群関連腫瘍のサーベーランスプログラムに従い異時性癌の発生に注意が必要である.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.14.2_29