トップアスリートに生じた大腿骨頭骨軟骨病変の経験

大腿骨頭に生じる離断性骨軟骨炎の報告は稀であるが,アスリートではオーバーユースによって生じるとことがある.今回我々が経験した3 例のうち2 例は腸腰筋インピンジメントにより生じ,もう 1 例はハードルのジャンプで繰り返される骨頭と臼蓋のインパクトにより骨軟骨病変が生じたものと考えられた.3 例とも病変は非荷重部位に限局しており,軟骨剥離や関節内インピンジメントの所見は無かった.いずれも保存治療により,受傷前レベルでの競技復帰が可能であった. アスリートに生じる大腿骨頭骨軟骨病変は,オーバーユースによる股関節外の慢性障害と,一連の運動連鎖の破綻が原因となり生じることから,治療には股関節や骨盤の安...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 31; no. 1; pp. 223 - 230
Main Authors 橋本, 立子, 中嶋, 耕平, 奥脇, 透, 鳥居, 俊, 安羅, 有紀, 半谷, 美夏, 西田, 雄亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2023
日本臨床スポーツ医学会
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ISSN1346-4159
2758-3767
DOI10.57474/jjcsm.31.1_223

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Summary:大腿骨頭に生じる離断性骨軟骨炎の報告は稀であるが,アスリートではオーバーユースによって生じるとことがある.今回我々が経験した3 例のうち2 例は腸腰筋インピンジメントにより生じ,もう 1 例はハードルのジャンプで繰り返される骨頭と臼蓋のインパクトにより骨軟骨病変が生じたものと考えられた.3 例とも病変は非荷重部位に限局しており,軟骨剥離や関節内インピンジメントの所見は無かった.いずれも保存治療により,受傷前レベルでの競技復帰が可能であった. アスリートに生じる大腿骨頭骨軟骨病変は,オーバーユースによる股関節外の慢性障害と,一連の運動連鎖の破綻が原因となり生じることから,治療には股関節や骨盤の安定性獲得に加え,股関節痛と関連した他部位の障害が潜在することを想定し,患部外のトレーニングや体幹―骨盤―下肢モーターコントロール機能の改善,フォームの確認・修正といった総合的な対策が必要である.
ISSN:1346-4159
2758-3767
DOI:10.57474/jjcsm.31.1_223