呼気ガス分析器の問題点を解決する過程を経験して

〔目的〕亜最大運動強度における呼気ガス分析において呼吸交換比が1.0以下を示す被験者を多く認めた。呼気ガス分析器(以下,A分析器)の問題点を検討する過程および医療機器業者に改善を促す過程を経験したので報告する。〔対象〕平均年齢22.3歳の健常成人20名を対象とした。〔方法〕A分析器の問題点を換気量と呼気ガス量の測定値から検討した。第一にA分析器と他社の分析器(以下,B分析器)による到達負荷段階における測定値について,ダグラスバック法を用いて各呼気ガス量の検討を行った。第二に両分析器による各呼気ガス量の変動パターンの比較を行った。到達負荷段階における呼気ガス量の検討はピアソンの相関係数を,変動パ...

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Published in理学療法科学 Vol. 24; no. 6; pp. 941 - 948
Main Authors 秋山, 純和, 上村, さと美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2009
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ISSN1341-1667
2434-2807
DOI10.1589/rika.24.941

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Summary:〔目的〕亜最大運動強度における呼気ガス分析において呼吸交換比が1.0以下を示す被験者を多く認めた。呼気ガス分析器(以下,A分析器)の問題点を検討する過程および医療機器業者に改善を促す過程を経験したので報告する。〔対象〕平均年齢22.3歳の健常成人20名を対象とした。〔方法〕A分析器の問題点を換気量と呼気ガス量の測定値から検討した。第一にA分析器と他社の分析器(以下,B分析器)による到達負荷段階における測定値について,ダグラスバック法を用いて各呼気ガス量の検討を行った。第二に両分析器による各呼気ガス量の変動パターンの比較を行った。到達負荷段階における呼気ガス量の検討はピアソンの相関係数を,変動パターンの比較は二元配置分散分析から分析した。業者に問題点を提示した後は,より詳細に検討するために両分析器間の系統誤差の存在をBland-Altman分析により検討した。有意水準は5%とした。〔結果〕ダグラスバック法とA,B分析器間の換気量(VE),酸素摂取量(VO2),二酸化炭素排出量(VCO2)の関係は,r = 0.89からr= 0.99と高い関係を認めた。両分析器間の変動パターンは呼吸交換比のみに交互作用を認めた。〔結語〕A分析器の換気量計およびガス濃度計には問題はないが,炭酸ガス濃度計の送気に関連する部位に問題があると推察した。医療機器業者に改善を求める際は測定値と問題が推察される箇所の具体的な提示が重要なことを再認識した。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.24.941