BARドメインスーパーファミリーによる細胞膜の形態形成とエンドサイトーシスおよび細胞外小胞形成
「1. はじめに」細胞膜は, 細胞の内と外を区切る脂質二重膜 (脂質膜) である. 細胞が数十マイクロメートルであるとすると, 細胞膜には, サブミクロン-ミクロンスケールの, つまり, 細胞のおおよそ1/100から1/1000の大きさに相当する, 微細構造が多数見られる. これらの微細構造は, 突起構造と陥入構造に分けられる. 突起構造ではフィロポディア (糸状仮足) やラメリポディア (葉状仮足) などが, 陥入構造ではクラスリンで被覆されたピット (クラスリン被覆小孔) やカベオラなどが代表的である. これらの陥入構造の多くは切断され細胞内の輸送小胞となる一方で, フィロポディアもまた切...
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Published in | 生物物理 Vol. 65; no. 1; pp. 4 - 8 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2025
日本生物物理学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」細胞膜は, 細胞の内と外を区切る脂質二重膜 (脂質膜) である. 細胞が数十マイクロメートルであるとすると, 細胞膜には, サブミクロン-ミクロンスケールの, つまり, 細胞のおおよそ1/100から1/1000の大きさに相当する, 微細構造が多数見られる. これらの微細構造は, 突起構造と陥入構造に分けられる. 突起構造ではフィロポディア (糸状仮足) やラメリポディア (葉状仮足) などが, 陥入構造ではクラスリンで被覆されたピット (クラスリン被覆小孔) やカベオラなどが代表的である. これらの陥入構造の多くは切断され細胞内の輸送小胞となる一方で, フィロポディアもまた切断されて細胞外小胞となる. 突起構造と陥入構造やこれらに由来する脂質膜小胞のほとんどの形成には, アクチン細胞骨格と, さまざまな脂質と相互作用するタンパク質が関与している. さまざまな突起構造と陥入構造は, ヒトにおいて~70種類存在することでさまざまな膜の曲率に対応する立体構造を持つBin-Amphiphysin-Rvs (BAR) ドメインスーパーファミリータンパク質によって説明できる. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.65.4 |