家族性・遺伝性乳癌に対する乳腺専門クリニックの取り組み

【はじめに】乳癌の5〜10%が遺伝性で,BRCA1/2 遺伝子変異が知られている.年間3,500〜7,000 人に遺伝カウンセリングと遺伝子検査がおこなわれる可能性があり,乳腺専門クリニックでも対応することが望まれている.遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)乳癌では,温存乳房再発,対側乳癌の発症リスクが高いことが知られている.【対象・方法】平成22 年1 月〜平成26 年1 月の乳癌303 例について,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology; Genet...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 15; no. 2; pp. 47 - 52
Main Authors 安藝, 史典, 伊藤, 末喜, 杉本, 健樹, 平野, 浩紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2015
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Summary:【はじめに】乳癌の5〜10%が遺伝性で,BRCA1/2 遺伝子変異が知られている.年間3,500〜7,000 人に遺伝カウンセリングと遺伝子検査がおこなわれる可能性があり,乳腺専門クリニックでも対応することが望まれている.遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)乳癌では,温存乳房再発,対側乳癌の発症リスクが高いことが知られている.【対象・方法】平成22 年1 月〜平成26 年1 月の乳癌303 例について,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology; Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breastand Ovarian にそってHBOC を拾い出しカウンセリングおこなった.昭和63 年4 月〜平成26 年4 月に温存乳房内再発した40 例,両側乳癌同時性17 例異時性39 例,平成22 年1 月〜26 年4 月の乳癌330 例のintrinsic subtype と手術術式について検討した.【結果】HBOC の可能性がある患者を114 例拾い出し,遺伝カウンセリングおこなった.局所再発はER 陰性が33.3%(p=0.0201866)と有意に多かった.異時性乳癌の第2 癌の23.1%が第1 癌より進行していた.triple negative,HER2 陽性で有意に乳房切除が多かった(p=0.0212811).【まとめ】乳癌患者だけでなく,検診受診者についてもHBOC を拾い出し,カウンセリングをおこなう必要がある.BRCA1/2 遺伝子検査は,保険診療としてみとめられていないが,乳癌手術術式決定に有用であり考慮していく必要がある.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.15.2_47