騒音性難聴の最近の知見 (疫学, 基礎など)
「1. はじめに」聴覚は音を受容する. しかし, 強大すぎる音は蝸牛に有害である. 強大音の音圧レベルと負荷時間によって, 受傷機転や経過が異なり表1の如く区別する. 騒音性難聴は慢性音響性聴器障害である. 音圧レベル85dBA以上の騒音環境は蝸牛に有害であるが短時間では難聴をきたさない. 1日8時間労働, 5~15年以上の経過で徐々に難聴が発生, 進行する. 騒音性難聴は現在でも最もよくみられる職業性疾病の1つであるが, 国内における罹患率などの詳細なデータは乏しい. 騒音性難聴防止のために, 平成4年に「騒音障害防止のためのガイドライン」(基発第546号)が策定され, 作業環境騒音は等価騒...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 3; pp. 252 - 253 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
2017
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.120.252 |
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Summary: | 「1. はじめに」聴覚は音を受容する. しかし, 強大すぎる音は蝸牛に有害である. 強大音の音圧レベルと負荷時間によって, 受傷機転や経過が異なり表1の如く区別する. 騒音性難聴は慢性音響性聴器障害である. 音圧レベル85dBA以上の騒音環境は蝸牛に有害であるが短時間では難聴をきたさない. 1日8時間労働, 5~15年以上の経過で徐々に難聴が発生, 進行する. 騒音性難聴は現在でも最もよくみられる職業性疾病の1つであるが, 国内における罹患率などの詳細なデータは乏しい. 騒音性難聴防止のために, 平成4年に「騒音障害防止のためのガイドライン」(基発第546号)が策定され, 作業環境騒音は等価騒音レベルで85dBA未満を目標に管理すること, 年に2回の聴力検査を行い有所見者の早期発見に努めること, 耳栓等の防音保護具を適切に使用すること等が定められている. しかし, ガイドラインの認知度は必ずしも高くなく, 特に小規模事業所において騒音性難聴の対策は十分とはいえない. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.120.252 |