静的な股関節外転ストレッチングが股関節内転筋群の筋スティフネスに及ぼす急性効果 ―せん断波エラストグラフィを用いた検討

(背景)股関節外転ストレッチングにより股関節外転可動域の改善が報告されているものの,股関節内転筋群の柔軟性に及ぼす効果は明らかとされていない.本研究は股関節外転による静的ストレッチングが内転筋群の柔軟性に及ぼす影響を解明することを目的とした.(方法)対象は健常成人男性12 名(24.0±3.8 歳)とした.外転ストレッチングは,股屈曲0̊および膝屈曲90̊における最大股関節外転位にて1 分×5 セット実施し,セット間で10 秒の休息を設けた.被検筋は長内転筋,大内転筋および薄筋とし筋柔軟性の指標としてせん断弾性率(kPa)をせん断エラストグラフィ超音波診断装置にて定量した.ストレッチングの介入...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 31; no. 3; pp. 467 - 475
Main Authors 加藤, 拓也, 谷口, 圭吾, 小出所, 大樹, 片寄, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2023
日本臨床スポーツ医学会
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Summary:(背景)股関節外転ストレッチングにより股関節外転可動域の改善が報告されているものの,股関節内転筋群の柔軟性に及ぼす効果は明らかとされていない.本研究は股関節外転による静的ストレッチングが内転筋群の柔軟性に及ぼす影響を解明することを目的とした.(方法)対象は健常成人男性12 名(24.0±3.8 歳)とした.外転ストレッチングは,股屈曲0̊および膝屈曲90̊における最大股関節外転位にて1 分×5 セット実施し,セット間で10 秒の休息を設けた.被検筋は長内転筋,大内転筋および薄筋とし筋柔軟性の指標としてせん断弾性率(kPa)をせん断エラストグラフィ超音波診断装置にて定量した.ストレッチングの介入前後に最大股関節外転角度および外転0̊から40̊まで10̊毎のせん断弾性率を各筋で計測した.(結果)介入後の最大外転角度(47.9̊)は介入前(45.1̊)と比較して有意に増加した(P<0.01,+6.0%).せん断弾性率は2 次の交互作用を認め,介入後に長内転筋のみ外転30̊にて8.9%(-1.3kPa),外転40̊にて19.9%(-5.0kPa)有意に低下した(P<0.01).一方,大内転筋および薄筋は交互作用および時間の主効果を認めなかった.(考察)股屈曲0̊および膝屈曲90̊位での股関節外転ストレッチングは,最大外転角度を増大させ,長内転筋の柔軟性を改善させる一方,薄筋および大内転筋には影響を与えないことが示された.
ISSN:1346-4159
2758-3767
DOI:10.57474/jjcsm.31.3_467