暴力に対する看護の新たな役割-暴力被害者への看護の再考

法看護学 「Forensic Nursing」 は,看護学に法科学を応用して,暴力・虐待,犯罪,迫害,搾取などに関わる者に看護ケアを提供する.法看護師は,被害者や加害者の心的外傷の査定とケアを行う際,法科学と看護学を統合する.アメリカやカナダ,ヨーロッパでは法看護師の活動は,証拠採取や事件の報告による擁護であり,対象の家族,地域社会,処遇制度の査定,手当に及ぶ.このような活動を通して,法看護学は暴力や犯罪による健康被害を防止することに寄与している.本稿は,法看護学の意義とその発展過程を振り返り,日本における法看護学導入・発展の可能性について考察した結果,暴力被害という健康問題に法看護の果たす新...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 34; no. 4; pp. 339 - 351
Main Authors 柳井, 圭子, 恒松, 佳代子, 児玉, 裕美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.12.2012
産業医科大学
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.34.339

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Summary:法看護学 「Forensic Nursing」 は,看護学に法科学を応用して,暴力・虐待,犯罪,迫害,搾取などに関わる者に看護ケアを提供する.法看護師は,被害者や加害者の心的外傷の査定とケアを行う際,法科学と看護学を統合する.アメリカやカナダ,ヨーロッパでは法看護師の活動は,証拠採取や事件の報告による擁護であり,対象の家族,地域社会,処遇制度の査定,手当に及ぶ.このような活動を通して,法看護学は暴力や犯罪による健康被害を防止することに寄与している.本稿は,法看護学の意義とその発展過程を振り返り,日本における法看護学導入・発展の可能性について考察した結果,暴力被害という健康問題に法看護の果たす新たな役割があるため,法看護学導入が必要であることを提言する.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.34.339