暑熱環境下における漸増負荷運動時の深部体温と生理情報との関連 -熱中症予防のための基礎的検討

「1. 諸言」近年, 地球温暖化の影響により, 世界的な気温の上昇傾向が続いている. そのため日本においても熱中症の事故は年々増加傾向にあり, 事故防止への対策が急務である. 熱中症とは, 暑熱環境下や高強度の作業下において, 体温調節, 体液調節, 循環調節などの体内の主要な調整機能が破綻するなどして発症する障害と総称される. 重症化すると深部体温が上昇し, それに伴う臓器血流低下による多臓器不全が起こり, 最悪の場合死に至る. 現在, 熱中症に対して, WBGT (Wet-Bulb Globe Temperature : 湿球黒球温度) を指標とした熱中症予防のための運動指針やWBGT等に...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 23; no. 4; pp. 155 - 163
Main Authors 前田, 享史, 澤田, 晋一, 青柳, 潔, 前田, 俊輔, 西村, 貴孝, 林, 政伸, 新村, 美帆, 伊達, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2018
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.23.4_155

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Summary:「1. 諸言」近年, 地球温暖化の影響により, 世界的な気温の上昇傾向が続いている. そのため日本においても熱中症の事故は年々増加傾向にあり, 事故防止への対策が急務である. 熱中症とは, 暑熱環境下や高強度の作業下において, 体温調節, 体液調節, 循環調節などの体内の主要な調整機能が破綻するなどして発症する障害と総称される. 重症化すると深部体温が上昇し, それに伴う臓器血流低下による多臓器不全が起こり, 最悪の場合死に至る. 現在, 熱中症に対して, WBGT (Wet-Bulb Globe Temperature : 湿球黒球温度) を指標とした熱中症予防のための運動指針やWBGT等による職場環境及び労働強度を考慮した暑熱職場の許容指針などで予防対策が実施されている. これらは画一的な環境や作業量の設定が可能である一方, 個人の暑熱環境への適応度や疲労の程度までを考慮することは困難であった.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.23.4_155