入院中の病児をもつ家族を対象とする家族機能尺度の開発と信頼性・妥当性の検討

入院中の病児をもつ家族と地域で生活する子どもをもつ家族では家族機能が異なることが明らかにされているが,入院中の病児をもつ家族を対象とする家族機能尺度は見当たらない.本研究の目的は,入院中の病児をもつ家族を対象とする家族機能尺度(FFHC)を開発し,その信頼性と妥当性を検証することである.入院中の病児をもつ家族の家族機能研究と文献検討の結果をアイテムプールとして項目精選を行い,FFHCを作成した.これは,19項目で構成される自記式質問紙である.表面的妥当性は研究者3名で確認した.1箇所の小児病棟でプレテストを実施し,尺度を修正した後,入院中の満12歳までの病児の母親を対象に信頼性と妥当性を確認す...

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Published in家族看護学研究 Vol. 28; no. 2; pp. 65 - 76
Main Authors 法橋, 尚宏, 平谷, 優子, 西元, 康世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家族看護学会 31.03.2023
日本家族看護学会
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ISSN1341-8351
2758-8424
DOI10.60320/jarfn.28.2_65

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Summary:入院中の病児をもつ家族と地域で生活する子どもをもつ家族では家族機能が異なることが明らかにされているが,入院中の病児をもつ家族を対象とする家族機能尺度は見当たらない.本研究の目的は,入院中の病児をもつ家族を対象とする家族機能尺度(FFHC)を開発し,その信頼性と妥当性を検証することである.入院中の病児をもつ家族の家族機能研究と文献検討の結果をアイテムプールとして項目精選を行い,FFHCを作成した.これは,19項目で構成される自記式質問紙である.表面的妥当性は研究者3名で確認した.1箇所の小児病棟でプレテストを実施し,尺度を修正した後,入院中の満12歳までの病児の母親を対象に信頼性と妥当性を確認するためのインターネットモニター調査を実施した.その結果,上位-下位分析では全項目において上位群と下位群の得点に有意差が認められた.FFHCと既存の家族機能尺度(Feetham家族機能調査日本語版Ⅰ)との相関は認められなかった.構成概念妥当性を確認するために行った探索的因子分析の結果,2因子構造であることが確認できた.Cronbachのα係数は0.96であり,内部整合信頼性は高かった.FFHCの1回目の回答から2週間程度の間隔をおいた回答におけるSpearmanの順位相関係数は0.42であり,中程度の相関が認められた.FFHCを活用することで,家族の家族機能レベルを評価することが可能となる.FFHCが研究や家族支援に寄与することを期待したい.
ISSN:1341-8351
2758-8424
DOI:10.60320/jarfn.28.2_65