新婚期に親介護を行う中で母親となり介護と育児のダブルケアを行う女性の介護中断・継続に至るまでのプロセス
本研究の目的は,新婚期に介護を開始し,その後に育児が始まった場合の女性の体験とその特徴を質的に明らかにし,家族形成期にダブルケアを行う家族への支援について示唆を得ることである.新婚期から子どもが乳幼児期までの間に,主介護者として,介護と育児を同時に行った経験を持つ女性5名を対象とし,質的研究を行った.分析はM-GTAにより行った.その結果,新婚期の介護役割負担の時期では,介護開始にあたり,【他には選択肢がない中での“新婚期の介護”という役割の開始】をして,新婚期に介護という負荷的な役割を組み込みながら新たな生活を始めていた.出産後,育児と介護のダブルケアを担う実際の生活は【夫婦関係の中で起こる...
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Published in | 家族看護学研究 Vol. 30; pp. 18 - 36 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本家族看護学会
31.03.2025
日本家族看護学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1341-8351 2758-8424 |
DOI | 10.60320/jarfn.30.0_18 |
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Summary: | 本研究の目的は,新婚期に介護を開始し,その後に育児が始まった場合の女性の体験とその特徴を質的に明らかにし,家族形成期にダブルケアを行う家族への支援について示唆を得ることである.新婚期から子どもが乳幼児期までの間に,主介護者として,介護と育児を同時に行った経験を持つ女性5名を対象とし,質的研究を行った.分析はM-GTAにより行った.その結果,新婚期の介護役割負担の時期では,介護開始にあたり,【他には選択肢がない中での“新婚期の介護”という役割の開始】をして,新婚期に介護という負荷的な役割を組み込みながら新たな生活を始めていた.出産後,育児と介護のダブルケアを担う実際の生活は【夫婦関係の中で起こる揺らぎ】と【母親役割と介護役割の間での葛藤】が【介護に育児が加わったことによる苦悩】を引き起こしていた.【介護に育児が加わったことによる苦悩】が続く中で,【決断の分岐点】で立ち止まり,【介護を中断する決断】,あるいは【介護を継続する決断】を行っていた.決断後は,いずれの決断においても【家族形成のあり方の模索】というかたちを取りながら,家族の再形成という課題に取り組んでいた.この全過程は『新婚期に親介護を行う中で母親となり介護と育児のダブルケアを行う女性の介護中断・継続に至るまでのプロセス』であった.そして,全過程を【家族の幸せへの願い】が支えていた.家族形成期の中でも新婚期に介護を担い,妊娠・出産を経て育児と介護のダブルケアを担う家族に対して,家族発達課題への支援,および健全な役割遂行における支援の必要性が示唆された. |
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ISSN: | 1341-8351 2758-8424 |
DOI: | 10.60320/jarfn.30.0_18 |