縊頸後の高度意識障害に対し中心静脈留置型経皮的体温調整システムを用いて体温管理療法を行った1例

非心肺停止縊頸患者の神経蘇生における体温管理療法の有効性が証明されていないなかで,体温管理療法を行い,神経学的後遺症を残さなかった症例を経験したので報告する。36歳の男性で,電源コードを用いて定型縊頸した。現場の意識レベルはⅢ-300(JCS)であった。 経過中に心肺停止には至らなかった。入院後よりしだいに体温が上昇し,血管内冷却システムを用いて35.7℃の体温管理療法を36時間実施した。第4病日に意識レベルはE4V5M6(GCS)に改善した。第23病日に心身面の治療継続のために近隣病院に転院したが,神経学的に明らかな後遺症は認めなかった。良好な転帰を得た要因として,二次性脳損傷を回避するため...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 5; pp. 871 - 875
Main Authors 菅谷, 一樹, 鈴木, 光子, 全田, 吏栄, 鈴木, 剛, 岩渕, 雅洋, 小野寺, 誠, 伊関, 憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 31.10.2022
日本臨床救急医学会
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Summary:非心肺停止縊頸患者の神経蘇生における体温管理療法の有効性が証明されていないなかで,体温管理療法を行い,神経学的後遺症を残さなかった症例を経験したので報告する。36歳の男性で,電源コードを用いて定型縊頸した。現場の意識レベルはⅢ-300(JCS)であった。 経過中に心肺停止には至らなかった。入院後よりしだいに体温が上昇し,血管内冷却システムを用いて35.7℃の体温管理療法を36時間実施した。第4病日に意識レベルはE4V5M6(GCS)に改善した。第23病日に心身面の治療継続のために近隣病院に転院したが,神経学的に明らかな後遺症は認めなかった。良好な転帰を得た要因として,二次性脳損傷を回避するために,体温管理療法を血管内冷却システムで実施したことが考えられた。縊頸後に意識障害がある患者は,少なくとも高体温を認めた時点で,TTMの開始を考慮すべきである。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.25.871