フッ酸吸入曝露事故モデルラットの急性肺障害の早期回復過程およびフッ素の肺および血中動態の検討
「1.目的」近代化学工業社会において, フッ化水素酸(hydrofluoric acid:HFA)は, その有用性のため需要は増大している. しかし, 作業現場における用手的取り扱いの際, 飛散したHFAによる急性曝露の労災報告が後を絶たない[1]. 急性曝露では致死事例があり, 我々は先行実験により吸入曝露後の急性致死病態と機序を解明した[2]. 但し, 軽度の曝露では救急処置により数日で回復した事例報告がある[3]. よって産業現場におけるHFA吸入曝露について有効な救命治療を検討する必要が示唆されてきた. HFAの有害影響については我々の先行研究により, 代謝および生体反応の経時的な相互...
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Published in | BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 23; no. 3; pp. 202 - 207 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本微量元素学会
31.10.2012
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Subjects | |
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ISSN | 0916-717X 1880-1404 |
DOI | 10.11299/brte.23.202 |
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Summary: | 「1.目的」近代化学工業社会において, フッ化水素酸(hydrofluoric acid:HFA)は, その有用性のため需要は増大している. しかし, 作業現場における用手的取り扱いの際, 飛散したHFAによる急性曝露の労災報告が後を絶たない[1]. 急性曝露では致死事例があり, 我々は先行実験により吸入曝露後の急性致死病態と機序を解明した[2]. 但し, 軽度の曝露では救急処置により数日で回復した事例報告がある[3]. よって産業現場におけるHFA吸入曝露について有効な救命治療を検討する必要が示唆されてきた. HFAの有害影響については我々の先行研究により, 代謝および生体反応の経時的な相互作用の関与が明らかになっている[4]. しかし, HFAの回復可能な低用量の吸入曝露について, 肺障害の回復過程を研究した報告はほとんどない. どの程度の曝露で回復するかという動物モデルを確立し, その回復での過程を研究することは, 救急治療法を検討するための基礎資料となる. |
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ISSN: | 0916-717X 1880-1404 |
DOI: | 10.11299/brte.23.202 |