ランダム化比較試験における割付管理のための方法に関する発案

無作為化比較研究(RCT)は医学研究における因果効果推計の最も信頼性の高い研究デザインに位置付けられている.RCTの信頼性が担保されるためには,無作為化割付のプロセスが適切に実施される必要がある.そのための必要な手続きには,1)ランダム化の順番の作成,2)割付の隠蔵,3)割付の実施が適切に実施されなければならない.これらを管理するため中央事務局方式や封筒法・番号付き容器法などの方法が採用されている.医師主導型の臨床研究や比較的小規模な臨床研究においては,予算上の都合から,封筒法・番号付き容器法が多く採用されている.しかしながら,これらの方法は適切なRCTの実施が担保されない.そこで小規模に実施...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 42; no. 1; pp. 77 - 82
Main Authors 藤野, 善久, 丹澤, 和雅, 村松, 圭司, 大谷, 誠, 久保, 達彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.03.2020
産業医科大学
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:無作為化比較研究(RCT)は医学研究における因果効果推計の最も信頼性の高い研究デザインに位置付けられている.RCTの信頼性が担保されるためには,無作為化割付のプロセスが適切に実施される必要がある.そのための必要な手続きには,1)ランダム化の順番の作成,2)割付の隠蔵,3)割付の実施が適切に実施されなければならない.これらを管理するため中央事務局方式や封筒法・番号付き容器法などの方法が採用されている.医師主導型の臨床研究や比較的小規模な臨床研究においては,予算上の都合から,封筒法・番号付き容器法が多く採用されている.しかしながら,これらの方法は適切なRCTの実施が担保されない.そこで小規模に実施される臨床研究において実施可能なRCTの割付を管理する新しい方法として割付管理帳票を考案した.本稿では,RCTの適切な実施に必要な手続きの観点から,従来の方法との比較を行い,割付管理帳票の利点および限界について考察した.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.42.77