Meckel憩室を起点に小腸軸捻転をきたした1例
Meckel憩室は卵黄臍管の遺残により形成される憩室で,有病率は1〜2%である。 合併症として出血,穿孔,腸閉塞があるが,憩室軸捻転による腸閉塞は非常にまれである。症例:9歳,男児。昼から続く間欠的な強い臍周囲の疼痛で救急搬送された。腹部は臍周囲に圧痛があったが,腹膜刺激症状はなかった。腹部〜骨盤CTでは,骨盤腔内正中よりやや右側に腸間膜の血管を中心として腸管が渦巻き状に巻き込まれるwhirl signがあり,口側の小腸の拡張があったが腸管の造影不良域はなかった。絞扼性腸閉塞が疑われ,緊急手術となった。結果:回腸は径約5cmの巨大なMeckel憩室を中心に同部位を軸に反時計回りに720°捻転し...
Saved in:
Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 3; pp. 585 - 589 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床救急医学会
30.06.2022
日本臨床救急医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-0581 2187-9001 |
DOI | 10.11240/jsem.25.585 |
Cover
Loading…
Summary: | Meckel憩室は卵黄臍管の遺残により形成される憩室で,有病率は1〜2%である。 合併症として出血,穿孔,腸閉塞があるが,憩室軸捻転による腸閉塞は非常にまれである。症例:9歳,男児。昼から続く間欠的な強い臍周囲の疼痛で救急搬送された。腹部は臍周囲に圧痛があったが,腹膜刺激症状はなかった。腹部〜骨盤CTでは,骨盤腔内正中よりやや右側に腸間膜の血管を中心として腸管が渦巻き状に巻き込まれるwhirl signがあり,口側の小腸の拡張があったが腸管の造影不良域はなかった。絞扼性腸閉塞が疑われ,緊急手術となった。結果:回腸は径約5cmの巨大なMeckel憩室を中心に同部位を軸に反時計回りに720°捻転し,捻転を解除し憩室を切除した。Meckel憩室軸捻転は腸管虚血から経時的に腸管壊死をきたすため,早期診断・治療が必要である。考察:今回の検討では憩室と周囲組織の癒着から捻転の軸ができ,腸管軸捻転をきたすことが考えられた。開腹歴のない10歳前後の男児で,腹部〜骨盤CTでwhirl signを認める症例ではMeckel憩室による小腸軸捻転も鑑別に入れ診療を行うべきと考える。 |
---|---|
ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.25.585 |