場面緘黙の子と幼少期から成人期までをともに歩んできた母親の体験

本研究の目的は,場面緘黙のわが子を幼少期から成人になるまで見守り,ともに歩んできた母親の体験を明らかにすることである.母親2名を研究参加者とし,個別のライフストーリーインタビューを行った.語られた内容ごとに小見出しとなるサブテーマをつけ,まとまりのあるストーリーごとに包括的な内容を示すテーマを命名した.Aの語りには【家庭外での声の出にくさを母として見守りつつ,気長に育ちを待つ】【不登校の解決に奔走する中で不適切な支援に苦しみながらも,適切な支援を探す】【会話ができないわが子の捉え方が変わり子の将来を考えつつ自分の人生を生きる】の3つのテーマがあった.Bの語りには【発達が気になる子ではあっても何...

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Published in家族看護学研究 Vol. 30; pp. 37 - 49
Main Authors 飯田, 大輔, 岡田, 摩理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家族看護学会 31.03.2025
日本家族看護学会
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ISSN1341-8351
2758-8424
DOI10.60320/jarfn.30.0_37

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Summary:本研究の目的は,場面緘黙のわが子を幼少期から成人になるまで見守り,ともに歩んできた母親の体験を明らかにすることである.母親2名を研究参加者とし,個別のライフストーリーインタビューを行った.語られた内容ごとに小見出しとなるサブテーマをつけ,まとまりのあるストーリーごとに包括的な内容を示すテーマを命名した.Aの語りには【家庭外での声の出にくさを母として見守りつつ,気長に育ちを待つ】【不登校の解決に奔走する中で不適切な支援に苦しみながらも,適切な支援を探す】【会話ができないわが子の捉え方が変わり子の将来を考えつつ自分の人生を生きる】の3つのテーマがあった.Bの語りには【発達が気になる子ではあっても何とかなると考えつつやり過ごす】【場面緘黙と診断されるも,治療も周囲の理解もない中で親子の苦悩が積み重なる】【場面緘黙の子の状況を理解してくれる様々な支援者により親子の人生が救われる】【自助グループの活動をする中で,自分の活動の方向性を見出す】の4つのテーマがあった.場面緘黙の親や家族への支援として,幼少期には早期の専門的介入の必要性に親が気づき支援を求められる環境が必要であり,親子の辛さに親身になって対応し,家族全体で子を見守ることができる支援,親が子の状況を受け入れ,親自身の人生を充実させる支援の必要性が考えられる.
ISSN:1341-8351
2758-8424
DOI:10.60320/jarfn.30.0_37