サドル付き歩行器を用いた歩行練習が有効であった重症の脊髄小脳変性症患者の1例

脊髄小脳変性症の重症度分類(以下SCD重症度分類)Ⅳ度の脊髄小脳変性症(以下SCD)に対する歩行練習の効果を検討したものは見あたらない。SCD重症度分類Ⅳ度の42歳男性に対する歩行練習の効果を検討した。理学療法開始時(以下X日)のScale for the Assessment and Rating Ataxia(以下SARA)は20点,Berg Balance Scale(以下BBS)は27点であった。歩行は運動失調により下肢が予期できない方向にステップアウトするために転倒の危険性が高く2人介助が必要であった。Functional Ambulation Categories(以下FAC)は0...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 73; no. 2; pp. 101 - 109
Main Authors 冨滿, 弘之, 箱守, 正樹, 寒河江, 純平, 豊田, 和典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2024
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.73.101

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Summary:脊髄小脳変性症の重症度分類(以下SCD重症度分類)Ⅳ度の脊髄小脳変性症(以下SCD)に対する歩行練習の効果を検討したものは見あたらない。SCD重症度分類Ⅳ度の42歳男性に対する歩行練習の効果を検討した。理学療法開始時(以下X日)のScale for the Assessment and Rating Ataxia(以下SARA)は20点,Berg Balance Scale(以下BBS)は27点であった。歩行は運動失調により下肢が予期できない方向にステップアウトするために転倒の危険性が高く2人介助が必要であった。Functional Ambulation Categories(以下FAC)は0だった。通常の立位・バランス機能練習では改善が得られず,オージー技研製サドル付き歩行器セーフティーウォーカーGB・500(以下SW)を用いた歩行練習を中心とした理学療法に変更したところ,X+24日でSARAは15点に,BBSは35点に改善した。歩行は1人介助で可能になり,手すり使用で10m歩行速度12秒,連続歩行距離は60mとなった。FACも2に改善し,リハビリ継続目的に転院した。SCD重症度分類Ⅳ度のSCDにおいて,SWを用いた集中的な歩行練習により,歩行能力の向上が得られた。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.73.101