高気圧医学での新たな展開と今後の課題について

高気圧医学は救急・集中治療の1つである高気圧酸素治療(hyperbaric oxygenation: HBO)に潜水医学を含んだものである.HBOに関連した話題では放射線治療と再生医療があり,特に放射線治療におけるHBOの有効性を確認する臨床試験が進められている.さらに,頭部外傷,低酸素ないし虚血性の脳疾患でのHBOによる認知機能の改善が示されている.放射線治療の増感作用さらに再生医療におけるHBOの潜在的可能性は高いものと思われる.しかし,ランダム化比較試験の結果が重要視されるなかで,従来からの適応疾患である減圧障害,一酸化炭素中毒や重症軟部組織感染症などで有効性の再検討が必要と考えられる....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 43; no. 1; pp. 87 - 96
Main Authors 合志, 清隆, 玉木, 英樹, 石竹, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.03.2021
産業医科大学
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:高気圧医学は救急・集中治療の1つである高気圧酸素治療(hyperbaric oxygenation: HBO)に潜水医学を含んだものである.HBOに関連した話題では放射線治療と再生医療があり,特に放射線治療におけるHBOの有効性を確認する臨床試験が進められている.さらに,頭部外傷,低酸素ないし虚血性の脳疾患でのHBOによる認知機能の改善が示されている.放射線治療の増感作用さらに再生医療におけるHBOの潜在的可能性は高いものと思われる.しかし,ランダム化比較試験の結果が重要視されるなかで,従来からの適応疾患である減圧障害,一酸化炭素中毒や重症軟部組織感染症などで有効性の再検討が必要と考えられる.また,減圧障害の治療に対する考え方が変わるなかで,潜水・潜函作業での事故対処も含めて規定している関連法令の見直しが迫られると考えられる.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.43.87