塩化ランタン静脈内投与ラットにおける肝臓内Laの局在と肝臓機能に及ぼす影響

「序文」 最近, ランタン(La)は先端産業の材料や透析患者での高リン(P)血症剤などに広く使用されるようになり, 生体への暴露が危惧される[1]. 腎機能不全による透析患者の多くでは, Pの排泄が不十分なため, 体内に蓄積して高P血症を発症する[2,3]. 従って, 透析患者では血清P濃度を管理維持することが極めて重要とされている. 一般的なP吸着剤としては, アルミニウム(Al)やカルシウム(Ca)を基礎とした薬剤が使用されていたが, 1970年代には, Al製剤による深刻な脳や骨の副作用が生じ, Al脳症やAl性骨軟化症の発症が報告され[4,5], 現在では使用は禁忌されている. 最近,...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 23; no. 4; pp. 236 - 242
Main Authors 宮川, 誠, 大門, 建夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 31.12.2012
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Summary:「序文」 最近, ランタン(La)は先端産業の材料や透析患者での高リン(P)血症剤などに広く使用されるようになり, 生体への暴露が危惧される[1]. 腎機能不全による透析患者の多くでは, Pの排泄が不十分なため, 体内に蓄積して高P血症を発症する[2,3]. 従って, 透析患者では血清P濃度を管理維持することが極めて重要とされている. 一般的なP吸着剤としては, アルミニウム(Al)やカルシウム(Ca)を基礎とした薬剤が使用されていたが, 1970年代には, Al製剤による深刻な脳や骨の副作用が生じ, Al脳症やAl性骨軟化症の発症が報告され[4,5], 現在では使用は禁忌されている. 最近, 新しい高P血症治療剤として炭酸Laが服用されている[6,7]. しかし, 長期使用に際して, Al製剤による深刻な脳や骨への副作用が生じたように, La製剤でも起こるのではないかとの危惧がある[6,7]. 従って, Laの生体に対する影響や, 生体内での蓄積, 代謝機構などの基礎的な研究が重要であるが, Laの実験動物に及ぼす影響についての検討は少ない.
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.23.236