COPD 診療に残された課題:気腫合併肺線維症
2005 年にCottin らにより,肺気腫と肺線維症の併存に視点をおいた気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema; CPFE)という概念が提唱され,その後CPFEという切り口で多数の論文が発表された.しかしながら,その診断において,画像所見における気腫性病変および間質性病変のいずれも,病変の程度,分布,拡がりなどについての基準は定まってはおらず,各報告者の基準によるもので検討されており,現在もコンセンサスは得られていない.現在,CPFE は独立した疾患単位ではなく,①男性に多く,喫煙との関与が強い,②スパイロメトリーで多くは正常か軽...
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Published in | Journal of Clinical Physiology Vol. 51; no. 1; pp. 1 - 6 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床生理学会
01.02.2021
Japanese Society of Clinical Physiology |
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ISSN | 0286-7052 2435-1695 |
DOI | 10.34363/jocp.51.1_1 |
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Summary: | 2005 年にCottin らにより,肺気腫と肺線維症の併存に視点をおいた気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema; CPFE)という概念が提唱され,その後CPFEという切り口で多数の論文が発表された.しかしながら,その診断において,画像所見における気腫性病変および間質性病変のいずれも,病変の程度,分布,拡がりなどについての基準は定まってはおらず,各報告者の基準によるもので検討されており,現在もコンセンサスは得られていない.現在,CPFE は独立した疾患単位ではなく,①男性に多く,喫煙との関与が強い,②スパイロメトリーで多くは正常か軽度の低下であるが,肺拡散能力は著明に低下している,③肺癌,肺高血圧,感染症の合併に注意が必要である,などといった特徴を有する「症候群」ととらえられている. わが国において,COPD に対して多数の吸入薬が使用可能となり,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis; IPF)に対しては2 剤の抗線維化薬の使用が可能となっている.現在,これら二つの特徴を併せ持つCPFE にどのような治療介入を行うかについても推奨はないがどちらの病態が優位かを総合的に判断し治療介入する必要がある. |
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ISSN: | 0286-7052 2435-1695 |
DOI: | 10.34363/jocp.51.1_1 |