舌運動機能に対する経頭蓋直流電気刺激の有効性
【緒言】本邦は,急速に高齢化社会を迎え,今後も摂食嚥下障害患者が増加していくことが予測される.嚥下障害治療の第一選択はリハビリテーションであるが,臨床現場では十分な効果が得られないことも多く経験する.本研究の目的は,経頭蓋直流電気刺激(transcranial Direct Current Stimulation: tDCS)によって,摂食嚥下にとって重要な舌運動機能の向上が得られるか否かを検討することである.【対象】健常成人20 名(男性5 名,女性15 名,平均年齢39.7±11.9 歳)とした.【方法】陽極刺激(1.5 mA,10 分間,5 回)と偽性刺激(0 mA,10 分間,5 回)...
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Published in | 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 24; no. 2; pp. 162 - 169 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
31.08.2020
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1343-8441 2434-2254 |
DOI | 10.32136/jsdr.24.2_162 |
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Summary: | 【緒言】本邦は,急速に高齢化社会を迎え,今後も摂食嚥下障害患者が増加していくことが予測される.嚥下障害治療の第一選択はリハビリテーションであるが,臨床現場では十分な効果が得られないことも多く経験する.本研究の目的は,経頭蓋直流電気刺激(transcranial Direct Current Stimulation: tDCS)によって,摂食嚥下にとって重要な舌運動機能の向上が得られるか否かを検討することである.【対象】健常成人20 名(男性5 名,女性15 名,平均年齢39.7±11.9 歳)とした.【方法】陽極刺激(1.5 mA,10 分間,5 回)と偽性刺激(0 mA,10 分間,5 回)を4 週の間隔を空けてランダムに割り付け,対象者がどちらの刺激を受けているかわからないように盲検化した.刺激中は,舌等尺性収縮訓練とオーラルディアドコキネシスを実施した.【結果】陽極刺激で最大舌圧の向上と,反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test: RSST)にて嚥下回数の有意な増加を認めた.また,偽性刺激においては,有意な差を認めなかった.【結論】今回の研究で,最大舌圧の向上とRSST にて嚥下回数が増加することを明らかにした.tDCS が舌運動機能の向上に有効であることが示唆された. |
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ISSN: | 1343-8441 2434-2254 |
DOI: | 10.32136/jsdr.24.2_162 |