八戸市民の毛髪中水銀濃度と魚介類摂取について

「I. はじめに」 自然環境中には様々な化学物質が存在し, その中にはヒトへの健康影響が懸念されているものもある. 水俣病の原因物質として知られているメチル水銀は, 自然界では微生物により無機水銀から作られ, 食物連鎖によって魚介類に蓄積される. 今日では, 魚介類を日常的に摂取しても, 水俣病のような重篤な症状は発生しないことが知られている[1]. しかしながら, 胎生期におけるメチル水銀曝露は, 胎児性水俣病に代表されるように, 母親より影響が大きいことが報告されている[2]. 近年, 魚介類等に含まれるメチル水銀に関する安全性については, FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECF...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 24; no. 3; pp. 170 - 175
Main Authors 久保, 涼子, 鈴木, 志乃舞, 安武, 章, 蜂谷, 紀之, 工藤, 綾香, 吉田, 稔, 三迫, 智佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2013
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.24.170

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Summary:「I. はじめに」 自然環境中には様々な化学物質が存在し, その中にはヒトへの健康影響が懸念されているものもある. 水俣病の原因物質として知られているメチル水銀は, 自然界では微生物により無機水銀から作られ, 食物連鎖によって魚介類に蓄積される. 今日では, 魚介類を日常的に摂取しても, 水俣病のような重篤な症状は発生しないことが知られている[1]. しかしながら, 胎生期におけるメチル水銀曝露は, 胎児性水俣病に代表されるように, 母親より影響が大きいことが報告されている[2]. 近年, 魚介類等に含まれるメチル水銀に関する安全性については, FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において, フェロー諸島, セイシェル共和国における妊婦の魚介類の摂取によるメチル水銀の胎児への影響に関するコホート研究結果に基づき再評価が行なわれた[3]. 米国環境保護庁(EPA)は胎生期のメチル水銀曝露がその後の子供の神経発達に影響を与えるということから, 妊娠中のメチル水銀曝露による胎児の健康影響を予防する目的で, メチル水銀の基準摂取量を引き下げた.
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.24.170