Metal-based drugs開発研究の最前線

生体系における金属イオンの役割は, 生命システムを維持するためには必須である. 近年, 金属酵素, 金属タンパク質など生命金属錯体の構造と機能が解明され, 遺伝子, タンパク質, あるいは金属イオンの輸送体や受容体に関する研究が大きく展開されている. 20世紀後半には, 銅・亜鉛, 鉄あるいはマンガンを含むスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が発見され, 人や動物の老化(aging)と関連づけられ, また, 1分子中に銅, 鉄, マンガン, カルシウムを含むシトクロムオクシダーゼの複雑な構造が解析され, 生命現象の基本骨格が明らかにされつつある. これらの新展開とともに, 金属イオンの新しい...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 132; no. 3; p. 251
Main Authors 桜井, 弘, 小谷, 明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.03.2012
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.132.251

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Summary:生体系における金属イオンの役割は, 生命システムを維持するためには必須である. 近年, 金属酵素, 金属タンパク質など生命金属錯体の構造と機能が解明され, 遺伝子, タンパク質, あるいは金属イオンの輸送体や受容体に関する研究が大きく展開されている. 20世紀後半には, 銅・亜鉛, 鉄あるいはマンガンを含むスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が発見され, 人や動物の老化(aging)と関連づけられ, また, 1分子中に銅, 鉄, マンガン, カルシウムを含むシトクロムオクシダーゼの複雑な構造が解析され, 生命現象の基本骨格が明らかにされつつある. これらの新展開とともに, 金属イオンの新しい機能の発見を目指して, 有機医薬品では達成できないmetal-based drugs(金属医薬品)の開発研究が展開されるようになった. これまでに, 白金, 金, リチウムや亜鉛などを含む化合物が, それぞれがん, リウマチ, 躁病や胃潰瘍の治療に用いられるようになった.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.132.251