思春期の子どもの子育てと老親介護のダブルケアをする家族の体験―ダブルケア当事者の語りを通して

目的:思春期の子どもの子育てと老親介護のダブルケアをした家族の体験を明らかにする方法:思春期の子育てと同時期に老親介護を行った経験をもつ者3名に,半構成的面接を実施.面接内容を逐語録にし,質的帰納的に分析した.結果:思春期の子育てと老親介護のダブルケアをする家族の体験から9カテゴリーが抽出され,ネガティブな側面とポジティブな側面が生じていた.ネガティブな側面には,【家族それぞれが思いを抱え悩む】,【家族の日常生活を維持することが困難となる】,【子どもが自身の思いを抱え込んだり反抗心を抱く】,【子どもの学校生活や進学が妨げられる】の4カテゴリーが抽出された.ポジティブな側面では,【互いに支え合い...

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Bibliographic Details
Published in家族看護学研究 Vol. 30; pp. 87 - 98
Main Authors 佐藤, 美樹, 井上, 敦子, 中山, 美由紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家族看護学会 31.03.2025
日本家族看護学会
Subjects
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ISSN1341-8351
2758-8424
DOI10.60320/jarfn.30.0_87

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Summary:目的:思春期の子どもの子育てと老親介護のダブルケアをした家族の体験を明らかにする方法:思春期の子育てと同時期に老親介護を行った経験をもつ者3名に,半構成的面接を実施.面接内容を逐語録にし,質的帰納的に分析した.結果:思春期の子育てと老親介護のダブルケアをする家族の体験から9カテゴリーが抽出され,ネガティブな側面とポジティブな側面が生じていた.ネガティブな側面には,【家族それぞれが思いを抱え悩む】,【家族の日常生活を維持することが困難となる】,【子どもが自身の思いを抱え込んだり反抗心を抱く】,【子どもの学校生活や進学が妨げられる】の4カテゴリーが抽出された.ポジティブな側面では,【互いに支え合い介護と日常生活を維持できるよう行動する】,【医療者や周りの人からの支援を受け安心感を抱く】,【子どもが自身の世界を広げていく】,【介護する経験を通して家族が成長する】という4カテゴリーが抽出された.結論:思春期の子育てと老親介護のダブルケアをする家族に対する家族看護として,家族全体を支援の対象と捉え,子どもの年齢や進路など家族の状況に応じて多様な角度から潜在する問題を捉え,支援の方向性を検討することの重要性が示唆された.
ISSN:1341-8351
2758-8424
DOI:10.60320/jarfn.30.0_87