バナジル—ハロゲン置換ピコリン酸錯体のインスリン様作用
2002年の調査によるとわが国では糖尿病の可能性を否定できない人が約1,620万人に達したと報告されている[1]. インスリン注射や合成薬剤を超える新しい薬剤の創生が求められる中, 原子番号23の遷移金属であるバナジウムに血糖降下作用が見出され, 新しい経口糖尿病治療薬として期待されている. バナジウムは様々な酸化数を取ることができるが, 毒性が低く生体中で安定に存在し血糖降下活性を示す4価バナジウムのバナジルが有用であると判断されている[2-4]. 著者らは現在までにバナジルとトリプトファン代謝物であるピコリン酸との錯体において高いインスリン様作用を持つことを明らかにしている[5]. さらに...
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Published in | BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 16; no. 4; pp. 348 - 351 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本微量元素学会
2005
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Summary: | 2002年の調査によるとわが国では糖尿病の可能性を否定できない人が約1,620万人に達したと報告されている[1]. インスリン注射や合成薬剤を超える新しい薬剤の創生が求められる中, 原子番号23の遷移金属であるバナジウムに血糖降下作用が見出され, 新しい経口糖尿病治療薬として期待されている. バナジウムは様々な酸化数を取ることができるが, 毒性が低く生体中で安定に存在し血糖降下活性を示す4価バナジウムのバナジルが有用であると判断されている[2-4]. 著者らは現在までにバナジルとトリプトファン代謝物であるピコリン酸との錯体において高いインスリン様作用を持つことを明らかにしている[5]. さらに, ピコリン酸の5位に電子吸引性基であるハロゲン基を導入することによりin vitroにおいて高いインスリン様作用を持つことを明らかにしてきた[6, 7]. 本研究では, ピコリン酸の4, 5, 6位にハロゲン原子を導入した配位子を用いてバナジル錯体を合成し, in vitroインスリン様作用およびin vivo血糖降下作用を検討することとした. |
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ISSN: | 0916-717X 1880-1404 |
DOI: | 10.11299/brte.16.348 |