歯磨き習慣と関連付けたYouTube動画の制作と視聴による教育的効果の検討

近年,歯磨き習慣などの口腔保健行動と生活習慣病との関連性が報告されている.本研究では口腔保健と生活習慣に関連する3分間のYouTube動画24本を制作し,歯磨き習慣とリンクさせた動画視聴が保健行動の変容に対して効果があるのかどうか検討した.某大学の教職員に,1日1回原則として就寝前の歯磨き時にYouTube動画を24回視聴してもらい,初回診査時(視聴前),視聴直後,初回診査より約6か月後の3時点で質問紙調査を行った.24回分の動画視聴を完遂できた21名のアンケート結果から,視聴後の歯磨き習慣の変化としては,丁寧になったが約6割,歯磨き時間が長くなったが約4割,就寝前の歯磨きが習慣化したが約3割...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 205 - 213
Main Authors 十川, 悠香, 坂本, 治美, 福井, 誠, 柳沢, 志津子, 中江, 弘美, 吉岡, 昌美, 日野出, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2023
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.73.3_205

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Summary:近年,歯磨き習慣などの口腔保健行動と生活習慣病との関連性が報告されている.本研究では口腔保健と生活習慣に関連する3分間のYouTube動画24本を制作し,歯磨き習慣とリンクさせた動画視聴が保健行動の変容に対して効果があるのかどうか検討した.某大学の教職員に,1日1回原則として就寝前の歯磨き時にYouTube動画を24回視聴してもらい,初回診査時(視聴前),視聴直後,初回診査より約6か月後の3時点で質問紙調査を行った.24回分の動画視聴を完遂できた21名のアンケート結果から,視聴後の歯磨き習慣の変化としては,丁寧になったが約6割,歯磨き時間が長くなったが約4割,就寝前の歯磨きが習慣化したが約3割であった.口腔保健に対する意識については,自分の歯や口について関心が高くなったが約7割,知識が増えた,価値観が高くなったと答えた者も6割を超えた.初回,視聴直後,6か月後のアンケートを比較した結果,定期歯科健診を受診している者の割合が初回33.3% から6か月後57.1%と有意に高くなった.歯間清掃習慣については初回「いいえ」と答えた5名のうち4名が,6か月後の調査で「時々」と回答した.毎日の歯磨き習慣に関連付けた形でYouTube動画を視聴することで,歯磨き習慣や保健行動に変化をもたらす可能性が示唆された.この手法は多忙で歯科受診に対する優先度が低くなりがちな現役世代にアプローチするツールとして期待できるのではないかと考える.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.73.3_205