高齢な大腿骨近位部骨折患者における日常生活活動と知能の関係

本稿の目的は,大腿骨近位部骨折(大腿骨骨折)を受傷した高齢な患者における受傷前,退院時,調査時の日常生活活動(ADL)と知能との関連性を検討することである。大腿骨骨折患者84名(平均年齢81.1±7.1歳)を対象として,知能,受傷前ADL,退院時ADL,調査時ADLを評価し,関連性を解析した。その結果,全てのADLと知能は,ほとんどが有意な相関を示した。知能が低下している者は,ADLが受傷前よりも退院時または調査時ともに有意に低下しており,入浴,更衣,歩行,排泄で著しかった。正準相関分析による第1正準変数の結果では,調査時の更衣,排泄,歩行に対して,これらと類似した受傷前ADLの項目が大きく関...

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Published in理学療法科学 Vol. 20; no. 2; pp. 143 - 147
Main Authors 対馬, 栄輝, 二ツ矢, 昌夫, 坂野, 晶司, 朝日, 茂樹, 三田, 禮造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2005
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Summary:本稿の目的は,大腿骨近位部骨折(大腿骨骨折)を受傷した高齢な患者における受傷前,退院時,調査時の日常生活活動(ADL)と知能との関連性を検討することである。大腿骨骨折患者84名(平均年齢81.1±7.1歳)を対象として,知能,受傷前ADL,退院時ADL,調査時ADLを評価し,関連性を解析した。その結果,全てのADLと知能は,ほとんどが有意な相関を示した。知能が低下している者は,ADLが受傷前よりも退院時または調査時ともに有意に低下しており,入浴,更衣,歩行,排泄で著しかった。正準相関分析による第1正準変数の結果では,調査時の更衣,排泄,歩行に対して,これらと類似した受傷前ADLの項目が大きく関与し,さらに知能との関連性が高いことがわかった。第2正準変数では,入浴や食事が他の項目と違った特徴を示すことがわかった。今回は単一施設で治療を受けた患者のみを対象としていたが,施設ごとの治療方針の違い,地域差の影響も否めず,他施設間にわたる調査を継続する必要もある。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.20.143