乳幼児の環境誘発行動を予測する計算モデルの開発

乳幼児の事故を環境改善によって予防することを目指し,環境の変化によって乳幼児の行動発生がどのように変化するのか計算できる,行動予測モデルを開発する.転落事故の事前行動となるよじ登り行動に着目し,物に対する乳幼児のよじ登り行動の計測実験を行い,実験データから,物の属性,乳幼児の特性,そしてよじ登り行動との確率的因果関係をベイジアンネットワークによりモデル化した.モデリングの結果,よじ登り行動には物の高さと広さ,乳幼児の身長が関係していることが分かり,乳幼児のよじ登り行動が物の属性から予測できること,さらに物の属性を操作することでよじ登り行動を制御できることを示した.本モデリングアプローチによって...

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Published in人間工学 Vol. 46; no. 2; pp. 166 - 171
Main Authors 西田, 佳史, 小松原, 明哲, 本村, 陽一, 野守, 耕爾, 山中, 龍宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 2010
日本人間工学会
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ISSN0549-4974
1884-2844
DOI10.5100/jje.46.166

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Summary:乳幼児の事故を環境改善によって予防することを目指し,環境の変化によって乳幼児の行動発生がどのように変化するのか計算できる,行動予測モデルを開発する.転落事故の事前行動となるよじ登り行動に着目し,物に対する乳幼児のよじ登り行動の計測実験を行い,実験データから,物の属性,乳幼児の特性,そしてよじ登り行動との確率的因果関係をベイジアンネットワークによりモデル化した.モデリングの結果,よじ登り行動には物の高さと広さ,乳幼児の身長が関係していることが分かり,乳幼児のよじ登り行動が物の属性から予測できること,さらに物の属性を操作することでよじ登り行動を制御できることを示した.本モデリングアプローチによって開発される行動モデルを用いることで,乳幼児の行動を誘発する環境条件の定量的な評価や,その評価に基づいた環境改善によって傷害発生の要因となる行動の抑制が可能となり,乳幼児の事故予防への応用が期待される.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.46.166