マイクロコーンによる疼痛緩和の神経性機序

侵害刺激で誘発される自律神経反応は,慢性痛を増悪させる要因の一つである.従って,その制御は臨床的に重要である.我々は,軽い皮膚タッチが熱侵害刺激による心血管反射を抑制し得ることをヒトと動物で見出した.その効果は,規則正しく配列した微小突起を持つマイクロコーンによるタッチで生じる.同一素材の平坦な円盤では効果がない.微小突起の有無は,触覚や体性感覚皮質の代謝,触知覚に重要な皮膚Aβ求心性線維の活動には影響しない.しかし,前帯状皮質の代謝や,皮膚低閾値Aδ及びC求心性線維の活動は,微小突起有の方でより高い.熱刺激による心血管反射を抑制するマイクロコーンの作用は,脊髄へのオピオイド受容体遮断薬の局所...

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Published inComprehensive Medicine 全人的医療 Vol. 13; no. 1; pp. 39 - 45
Main Author 堀田, 晴美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 国際全人医療研究所 25.12.2014
日本実存療法学会
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ISSN1341-7150
2434-687X
DOI10.32183/ifcm.13.1_39

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Summary:侵害刺激で誘発される自律神経反応は,慢性痛を増悪させる要因の一つである.従って,その制御は臨床的に重要である.我々は,軽い皮膚タッチが熱侵害刺激による心血管反射を抑制し得ることをヒトと動物で見出した.その効果は,規則正しく配列した微小突起を持つマイクロコーンによるタッチで生じる.同一素材の平坦な円盤では効果がない.微小突起の有無は,触覚や体性感覚皮質の代謝,触知覚に重要な皮膚Aβ求心性線維の活動には影響しない.しかし,前帯状皮質の代謝や,皮膚低閾値Aδ及びC求心性線維の活動は,微小突起有の方でより高い.熱刺激による心血管反射を抑制するマイクロコーンの作用は,脊髄へのオピオイド受容体遮断薬の局所投与で消失する.以上より,マイクロコーンによる皮膚の低閾値Aδ及びC線維の興奮が脊髄のオピオイド系を賦活して脊髄での侵害受容伝達を抑制し,心臓交感神経反射を抑えると考えられる.
ISSN:1341-7150
2434-687X
DOI:10.32183/ifcm.13.1_39