在宅要介護高齢者における口腔機能状態,栄養状態および食物摂取状況との関連
【目的】在宅要介護高齢者の口腔機能状態と栄養状態および食物摂取状況の関連を明らかにすることである.【対象および方法】対象者は,65歳以上の要介護高齢者で,歯科診査,質問紙調査などへの同意が得られた63名(男性25名,女性38名,平均年齢±標準偏差:83.5±6.8歳)とした.口腔機能状態は,ROAGを用い,口腔内の8項目について1~3点で評価し,スコア8点で良好(以下,良好群),9~12点(軽度低下)と13点以上(重度低下)を口腔機能低下あり(以下,低下群)の2群に分け比較検討を行った.【結果】2群間で,年齢,BMI,骨格筋指数(SMI),握力,MNA®-SF に有意差はみられなかった.良好群...
Saved in:
Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 68; no. 4; pp. 207 - 218 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
2018
日本口腔衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 【目的】在宅要介護高齢者の口腔機能状態と栄養状態および食物摂取状況の関連を明らかにすることである.【対象および方法】対象者は,65歳以上の要介護高齢者で,歯科診査,質問紙調査などへの同意が得られた63名(男性25名,女性38名,平均年齢±標準偏差:83.5±6.8歳)とした.口腔機能状態は,ROAGを用い,口腔内の8項目について1~3点で評価し,スコア8点で良好(以下,良好群),9~12点(軽度低下)と13点以上(重度低下)を口腔機能低下あり(以下,低下群)の2群に分け比較検討を行った.【結果】2群間で,年齢,BMI,骨格筋指数(SMI),握力,MNA®-SF に有意差はみられなかった.良好群は低下群に比べて,Alb 4.0 g/dl以上者が多い傾向にあり,舌圧35 kPa以上の者が有意に多く,認知自立度で要介護者が有意に少なかった.BDHQによる栄養素摂取量は,良好群は低下群に比べて,たんぱく質摂取量が70歳以上の推奨量以上摂取している者が有意に多く,ビタミンCの摂取量が有意に少なかった.食品群別摂取量は,良好群は低下群に比べ豆腐類,根菜類,脂ののった魚類の摂取量が有意に多く,いも類,柑橘類,洋菓子類の摂取量が有意に少なかった.【結論】在宅要介護高齢者において口腔機能状態と栄養状態,食物摂取状況との間に関連がみられた.在宅要介護高齢者の口腔機能状態の維持・悪化予防において,栄養状態のみならず食物摂取状況を把握することの必要性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.68.4_207 |