食品および環境水からのEscherichia albertii分離法の検討および分離株の解析

「要約」E. albertiiは海外での調査を中心に多様な食品や環境水での汚染が報告されている. そこで本研究では, 国内の多様な市販食品や環境水等のE. albertii汚染を様々な手法にて試験し, 本菌をより効率よく分離するための方法を検討した. 多様な食品および環境水からの本菌の検出を試みたところ, 鶏肉, カキおよび河川水がスクリーニングPCR法陽性となり, 鶏肉, カキ, 河川水およびヒト便の一部検体からは本菌が分離された. スクリーニングPCR非実施の検体からはE. albertiiが分離されなかった. このため, スクリーニングを実施することが効率の良い本菌の分離培養法と考えらえ...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 65 - 76
Main Authors 木全, 恵子, 山谷, 聡子, 土井, りえ, 土屋, 彰彦, 小西, 典子, 工藤, 由起子, 福留, 智子, 山田, 香織, 髙良, 武俊, 佐伯, 美由紀, 栁本, 恵太, 今野, 貴之, 新井, 沙倉, 床井, 由紀, 中村, 由紀子, 松永, 典久, 長岡, 宏美, 浅野, 由紀子, 山中, 拓哉, 廣瀨, 昌平, 溝腰, 朗人, 原田, 誠也, 濵, 夏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.06.2024
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ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.41.65

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Summary:「要約」E. albertiiは海外での調査を中心に多様な食品や環境水での汚染が報告されている. そこで本研究では, 国内の多様な市販食品や環境水等のE. albertii汚染を様々な手法にて試験し, 本菌をより効率よく分離するための方法を検討した. 多様な食品および環境水からの本菌の検出を試みたところ, 鶏肉, カキおよび河川水がスクリーニングPCR法陽性となり, 鶏肉, カキ, 河川水およびヒト便の一部検体からは本菌が分離された. スクリーニングPCR非実施の検体からはE. albertiiが分離されなかった. このため, スクリーニングを実施することが効率の良い本菌の分離培養法と考えらえた. また, E. albertii特異的リアルタイムPCR法と2段階増菌培養法を組み合わせて検討したところ, 複数種類の増菌培地を用いた2段階増菌培養を実施することで, 1段階目よりも2段階目のCt値の方が低下, すなわち培養液中のE. albertii数が増加した検体が認められた. これら検体のうちCt値が25未満の培養液からはE. albertiiが分離された. 培養液中のE. albertii菌数を推定し, Ct値25未満を一つの指標として分離培養を実施することがより分離効率を向上させる方法と考えられた. さらに, 食品, 環境水およびヒト便由来株を遺伝子解析したところ, 供試した全分離株がeaeを保有していた. また, 食品や環境由来株とヒト便由来株のEAOgが一部一致していることが示された. そのため, 今後も食品や環境におけるE. albertiiの汚染には注意が必要と考えられた.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.41.65