物体投げ上げ動作における手指関節運動の解析
「1. はじめに」近年, 人の筋骨格構造を模倣した人工筋ロボットが注目を浴びており, 人と同様にしなやかさと力強さを兼ね備えたダイナミックな運動の生成が期待される. こうしたロボットの制御方法を構築する上で, 人の関節運動を解析することは非常に有用である. 特に, スポーツ動作においては筋の配置やその機械的特性, さらにリンク間の運動伝達特性などを巧みに利用したスキル動作が観察され, ロボット制御の手本として多くの有益な要素を含んでいる. 例えば, 投球動作においては, 各関節運動の速度ピークを体幹側から末端側へ徐々に推移させることにより, 運動エネルギーを効率良く伝播させる運動連鎖1)と呼ば...
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Published in | 人間工学 Vol. 46; no. 4; pp. 282 - 286 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人間工学会
2010
日本人間工学会 |
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ISSN | 0549-4974 1884-2844 |
DOI | 10.5100/jje.46.282 |
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Summary: | 「1. はじめに」近年, 人の筋骨格構造を模倣した人工筋ロボットが注目を浴びており, 人と同様にしなやかさと力強さを兼ね備えたダイナミックな運動の生成が期待される. こうしたロボットの制御方法を構築する上で, 人の関節運動を解析することは非常に有用である. 特に, スポーツ動作においては筋の配置やその機械的特性, さらにリンク間の運動伝達特性などを巧みに利用したスキル動作が観察され, ロボット制御の手本として多くの有益な要素を含んでいる. 例えば, 投球動作においては, 各関節運動の速度ピークを体幹側から末端側へ徐々に推移させることにより, 運動エネルギーを効率良く伝播させる運動連鎖1)と呼ばれる干渉動作が見られ, 手先の高速化が実現されている. また, 筋の弾性要素としての性質を利用し, 関節の背屈動作により生じる伸張-収縮反応を関節運動の高速化に利用することもよく行っている2, 3). 一方で, ボールの受け取りや打撃動作などでは, 関節の剛性を適切に調節し, 効率のよいエネルギーの吸収や伝達を行っている4). |
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ISSN: | 0549-4974 1884-2844 |
DOI: | 10.5100/jje.46.282 |