老人福祉施設からの救急搬送の現状と課題
はじめに:超高齢社会が進むなか,老人福祉施設からの救急要請は近年増加の一途をたどっている。救急隊員が高齢者施設からの搬送依頼の対応に戸惑う事例も散見されるため,その実態を把握し,問題点を抽出した。対象と方法:平成16年から平成24年までに堺市消防局が搬送した65歳以上の傷病者を,老人福祉施設とそれ以外(以下,高齢者)に分けて,搬送件数,傷病程度,疾患別分類,CPA件数,バイスタンダーCPR実施率について比較検討した。結果:老人福祉施設では,搬送件数,CPA件数とも高齢者と比較して増加傾向を示していた。傷病程度は,中等症以上が高齢者で50.5%であったのに対し,老人福祉施設では70.7%と重症度...
Saved in:
Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 19; no. 1; pp. 29 - 34 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床救急医学会
2016
日本臨床救急医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | はじめに:超高齢社会が進むなか,老人福祉施設からの救急要請は近年増加の一途をたどっている。救急隊員が高齢者施設からの搬送依頼の対応に戸惑う事例も散見されるため,その実態を把握し,問題点を抽出した。対象と方法:平成16年から平成24年までに堺市消防局が搬送した65歳以上の傷病者を,老人福祉施設とそれ以外(以下,高齢者)に分けて,搬送件数,傷病程度,疾患別分類,CPA件数,バイスタンダーCPR実施率について比較検討した。結果:老人福祉施設では,搬送件数,CPA件数とも高齢者と比較して増加傾向を示していた。傷病程度は,中等症以上が高齢者で50.5%であったのに対し,老人福祉施設では70.7%と重症度が高かった。バイスタンダーCPR実施率は,老人福祉施設72.8%,高齢者46.7%と老人福祉施設で高かった。考察:今後増加する老人福祉施設からの搬送に対応するためには,施設職員の協力が不可欠であり,救急隊員との連携強化を図るために提案が必要であると考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.19.29 |