離島における無介助分娩に対する医療者の考え

「I. 緒言」出産の歴史は, 出産場所の施設化および出産が生理的なプロセスとしてまかされていた状態から医療管理下に取り込まれる医療化へと変遷している. 厚生労働省の出産場所についての調査によると, 1950年頃の自宅・その他での出産は全体の約95%を占めていたが, その数は急激に減少し1980年以降は全体の99%以上が病院や診療所, 助産所での施設内分娩となっている. しかし, 施設内分娩が主流となっている日本において, その流れに反し, 自宅などで医療者の付き添いなしに, 無介助分娩を行うことを希望する人々がいる. 現在, 全国には416の有人離島があるが, 離島においては, 分娩取り扱い施...

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Published in日本健康学会誌 Vol. 91; no. 1; pp. 3 - 12
Main Authors 酒井, 里菜, 中尾, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康学会 31.01.2025
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ISSN2432-6712
2432-6720
DOI10.3861/kenko.91.1_3

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Summary:「I. 緒言」出産の歴史は, 出産場所の施設化および出産が生理的なプロセスとしてまかされていた状態から医療管理下に取り込まれる医療化へと変遷している. 厚生労働省の出産場所についての調査によると, 1950年頃の自宅・その他での出産は全体の約95%を占めていたが, その数は急激に減少し1980年以降は全体の99%以上が病院や診療所, 助産所での施設内分娩となっている. しかし, 施設内分娩が主流となっている日本において, その流れに反し, 自宅などで医療者の付き添いなしに, 無介助分娩を行うことを希望する人々がいる. 現在, 全国には416の有人離島があるが, 離島においては, 分娩取り扱い施設が減少し, 医療者の確保に困難を極めている. 離島は, 本土と比較すると医療体制が脆弱な環境下にあるにもかかわらず, 離島での無介助分娩を希望する人々がいる. そして希望者の多くは, 島外からの移住者で, 移住者には自然な生活への強い志向を有している者が少なからずいる.
ISSN:2432-6712
2432-6720
DOI:10.3861/kenko.91.1_3