当院における廃用症候群に対するリハビリテーションの現状報告

当院でリハビリテーション(以下リハ)科に紹介となった廃用症候群患者の現状と転帰を検討し、看護ケアの重要性について考察した。対象は平成19 年度から3 年間にリハを実施した廃用症候群患者とし、リハ依頼科、原因疾患群、退院先、入院前および退院時移動能力とその変化(ADL 変化)を後方視的に調査した。また平成19 年度においては、廃用症候群以外に骨折群(胸腰椎圧迫骨折と大腿骨近位部骨折)および脳卒中群を対象に、入院期間、入院からリハ開始までのリハ開始前期間、リハ開始後退院までのリハ開始後期間および自宅退院率を調査し、3 群間で比較した。3 年間の対象件数は347 例で、平均年齢は77.5±11.2...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Medical Journal of Matsue City Hospital Vol. 15; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 福永, 典子, 徳田, 佳生, 吉野, 陽三, 藤本, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 松江市立病院 2011
Matsue City Hospital
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1343-0866
2434-8368
DOI10.32294/mch.15.1_1

Cover

More Information
Summary:当院でリハビリテーション(以下リハ)科に紹介となった廃用症候群患者の現状と転帰を検討し、看護ケアの重要性について考察した。対象は平成19 年度から3 年間にリハを実施した廃用症候群患者とし、リハ依頼科、原因疾患群、退院先、入院前および退院時移動能力とその変化(ADL 変化)を後方視的に調査した。また平成19 年度においては、廃用症候群以外に骨折群(胸腰椎圧迫骨折と大腿骨近位部骨折)および脳卒中群を対象に、入院期間、入院からリハ開始までのリハ開始前期間、リハ開始後退院までのリハ開始後期間および自宅退院率を調査し、3 群間で比較した。3 年間の対象件数は347 例で、平均年齢は77.5±11.2 歳、男性203 例、女性144 例であり、平成19 年度135 例、20 年度122 例、21 年度90 例と漸減していた。退院先は自宅180 例(52%)、施設48 例(14%)、転院52 例(15%)、死亡67 例(19%)であり、依頼科別では緩和ケア科で死亡が73%と高かった。移動能力は、独歩が入院前140 例から58 例に著減し、反対にベッド周辺生活が23 例から50 例、ベッド上生活が16 例から39 例へ増加していた。ADL 変化は病前不明と死亡を除くと、悪化~やや悪化が132 例、不変が127 例、改善~やや改善が9 例であり、原因疾患群別にみると、癌末期、心不全、癌治療、消化器疾患が不良であった。廃用症候群は骨折群および脳卒中群より入院期間は長かったが、リハ開始後期間には有意差はなかった。自宅復帰率は骨折群75.6%、廃用症候群69.8%、脳卒中群61.7%の順となった。平成19 年度の廃用症候群において、リハ開始後期間はリハ開始前期間の約1.5 倍を要していたが、両期間の順位相関係数は0.253 と低かった。廃用症候群は治療上の合併症であり今後も減少することが望ましいが、そのためには廃用防止の看護ケアが重要である。
ISSN:1343-0866
2434-8368
DOI:10.32294/mch.15.1_1