特別養護老人ホーム入居高齢者の口腔清掃の自立状況と介護職員による口腔ケア介入の関係について

訪問歯科の需要は年々高まりをみせているが,毎日同じ施設を訪問することは現実的に難しく,施設入居高齢者の日常の口腔管理を入居者自身もしくは施設の介護職員に頼らざるを得ないことが多い.しかし,高齢者施設は慢性的に人材不足であり,口腔ケアを真に必要とする者に対し適切に介護職員を配置することが重要である.配置に関して今後歯科医療職に求められる役割は大きくなると予想される.本研究の目的は,施設入居高齢者本人の口腔清掃の自立状況と介護職員による口腔ケア介入の関係を明らかにすることである. 特別養護老人ホームに入居する高齢者54名を対象にし,全身状態に関わる項目,口腔ケアに関わる項目および口腔内環境に関わる...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 72; no. 3; pp. 178 - 184
Main Authors 西條, 光雅, 竹下, 玲, 松本, 勝, 入江, 浩一郎, 深井, 智子, 鈴木, 千晶, 安井, 利一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2022
日本口腔衛生学会
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Summary:訪問歯科の需要は年々高まりをみせているが,毎日同じ施設を訪問することは現実的に難しく,施設入居高齢者の日常の口腔管理を入居者自身もしくは施設の介護職員に頼らざるを得ないことが多い.しかし,高齢者施設は慢性的に人材不足であり,口腔ケアを真に必要とする者に対し適切に介護職員を配置することが重要である.配置に関して今後歯科医療職に求められる役割は大きくなると予想される.本研究の目的は,施設入居高齢者本人の口腔清掃の自立状況と介護職員による口腔ケア介入の関係を明らかにすることである. 特別養護老人ホームに入居する高齢者54名を対象にし,全身状態に関わる項目,口腔ケアに関わる項目および口腔内環境に関わる項目について調査を行った.また,口腔清掃の自立度(自立/一部もしくは全面介助を要する)と基礎疾患および各項目間でクロス集計の後,統計解析を行った. その結果,口腔清掃の自立度には年齢(Mann-Whitneyʼs U検定,p<0.01)および要介護度の項目(Fisher直接確率法,p<0.01)で関連がみられた.また,口腔清掃の介助が必要な群では介護職員による口腔ケア介入回数が多く,1回あたり口腔ケア介入時間も増加する傾向にあった(Fisher直接確率法,p<0.01). 今後は調査施設を広げ,対象人数を増やし,各疾患の障害の程度も考慮した調査が引き続き必要と思われる.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.72.3_178