誤嚥を契機にみつかり,上気道狭窄が進行した頸椎びまん性特発性骨増殖症

症例は63歳,男性。1年前より食事時の咽せを自覚していた。誤嚥性肺炎と横紋筋融解症に伴う急性腎障害の加療目的に当院入院となった。抗菌薬投与と連日の透析治療を行い,入院8日目に嚥下内視鏡検査を行ったところ,咽頭後壁の膨隆があり,声門部が視認困難であった。頸椎CTではとくにC2-C4レベルで椎体前面の骨棘形成が顕著で,びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis;DISH)の診断となった。入院時より睡眠時のいびきがあったが,気道狭窄音が目立つようになったため,入院13日目に気管挿管を行い,のちに気管切開を施行した。最終的に頸椎骨搔爬術を行...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 1; pp. 76 - 80
Main Authors 清水, 千華子, 原田, 正公, 高橋, 毅, 櫻井, 聖大, 深水, 浩之, 芥川, 晃也, 松尾, 悠史, 山田, 周, 北田, 真己, 渋沢, 崇行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 28.02.2021
日本臨床救急医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.24.76

Cover

More Information
Summary:症例は63歳,男性。1年前より食事時の咽せを自覚していた。誤嚥性肺炎と横紋筋融解症に伴う急性腎障害の加療目的に当院入院となった。抗菌薬投与と連日の透析治療を行い,入院8日目に嚥下内視鏡検査を行ったところ,咽頭後壁の膨隆があり,声門部が視認困難であった。頸椎CTではとくにC2-C4レベルで椎体前面の骨棘形成が顕著で,びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis;DISH)の診断となった。入院時より睡眠時のいびきがあったが,気道狭窄音が目立つようになったため,入院13日目に気管挿管を行い,のちに気管切開を施行した。最終的に頸椎骨搔爬術を行ったことで,上気道の狭窄が解除され気管孔を閉鎖でき,嚥下障害も改善した。DISHはまれな疾患ではなく,頸椎病変を伴うDISHは,嚥下障害や誤嚥性肺炎,上気道狭窄の鑑別疾患として重要である。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.24.76