2型糖尿病腎症モデルマウス (KK-Ay/Taマウス) におけるQTL解析による腎症疾患感受性遺伝子座の検討

目的: ヒト糖尿病腎症の発症・進展には遺伝因子の関与が考えられているが, 疾患として不均一であるため, 責任遺伝子座の同定は困難である. 今回, 遺伝的に均一な2型糖尿病腎症モデルマウスであるKK-Ay/Taマウスを用いて量的形質座位 (QTL) 解析を行うことで, 腎症の候補遺伝子座について検討を行った.対象: KK-Ay/TaマウスとBALB/cAマウス方法: (KK-Ay/Ta×BALB/cA) F2 intercrossマウスを270匹作製し, 8, 12, 16, 20週齢におけるHbA1c, 尿中アルブミン/クレアチニン比 (ACR), 空腹時体重を測定した. 85個のマイクロサテ...

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Published in順天堂医学 Vol. 56; no. 2; pp. 107 - 115
Main Authors 青木, 竜弥, 金子, 滋, 谷本, 光生, 萩原, 晋二, 村越, 真紀, 石川, 祐史, 古川, 雅子, 合田, 朋仁, 堀越, 哲, 富野, 康日己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 30.04.2010
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Summary:目的: ヒト糖尿病腎症の発症・進展には遺伝因子の関与が考えられているが, 疾患として不均一であるため, 責任遺伝子座の同定は困難である. 今回, 遺伝的に均一な2型糖尿病腎症モデルマウスであるKK-Ay/Taマウスを用いて量的形質座位 (QTL) 解析を行うことで, 腎症の候補遺伝子座について検討を行った.対象: KK-Ay/TaマウスとBALB/cAマウス方法: (KK-Ay/Ta×BALB/cA) F2 intercrossマウスを270匹作製し, 8, 12, 16, 20週齢におけるHbA1c, 尿中アルブミン/クレアチニン比 (ACR), 空腹時体重を測定した. 85個のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型を決定し, QTL解析を行った.結果: 20週齢のACRに関連した遺伝子座は染色体9番にみられ, suggestiveな連鎖が認められた. 8, 20週齢のHbA1cに関連した遺伝子座は染色体7番, 8, 12週齢の空腹時体重に関連した遺伝子座は染色体1番にみられ, ともにsignificantな連鎖を認めた. これらの遺伝子座は, これまでに報告されている責任遺伝子座とは異なっていた.結論: KK-Ay/TaマウスのQTL解析により, 新たな糖尿病腎症疾患感受性遺伝子座が同定された. ACRに関与する遺伝子座とHbA1cを規定する遺伝子座とは異なった位置にあるが, 両者は相補的に関与している可能性が示唆された.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.56.107